日本時間4月13日に行われたアスレチックス戦、レイズのブレット・フィリップスが3回に放った本塁打が全米に感動を与えた。
この日の試合前、始球式のマウンドに立ったのはソフトボールを楽しむ8歳の少女、クローイ・グライムズちゃん。あどけない笑顔から想像もできないが、実は彼女は現在2度目の癌と闘っており、5月には甲状腺を切除する手術が予定されている。
レイズファンのクローイちゃんが、始球式のキャッチャーに指名したのがブレット・フィリップス外野手だった。クローイちゃんはフィリップスの大ファンで、2020年のワールドシリーズなどで見せた飛行機ポーズがお気に入りだ。
始球式のマウンドに上がる前のクローイちゃんから、名前入りのソフトボールと応援のメッセージが記されたブレスレットを受け取ったフィリップスはその場でブレスレットを手首につけ、そのまま試合に出場した。
5対3のリードで迎えたレイズの3回裏の攻撃、この回先頭のフィリップスが打席に立った。ちょうどそのとき、スタンドでは地元放送局のレポーターからインタビューを受けている最中のクローイちゃん。打席のフィリップスが力強く振り抜いた打球はライトスタンドに消えた。
クローイちゃんに捧げる本塁打。打球速度はフィリップス自身の最速をマークする完璧の当たり。クローイちゃんが「フィリップスがホームランを打った!」と大盛り上がりすると、球場全体も歓喜に沸いた。
試合後、幸運のブレスレットを着用したまま、クローイちゃんからもらったソフトボールと写真を片手にインタビューに応えたフィリップス。普段はインタビューでもはしゃいでいるが、今回は涙目になりながら「クロ―イ、君が僕に頑張る力を与えてくれた。今日放ったホームランは野球人生で一番強く、一番遠く放った一球だったかもしれない。あれは君のためのホームランだよ」とコメント。
その後、自身のSNSでも「クローイ、あなたは私の心に触れ、私に影響を与えました!神様があなたに会う機会を与えてくださったので、私はとても恵まれていると感じています!」とのコメントとともに動画を投稿した。
後日再開した2人。レイズは「あなたが今まで出会ったなかで最も刺激的な2人」と題して画像を投稿。
心優しきフィリップスの活躍、そしてクローイちゃんお気に入りの飛行機ポーズを目にしたときは、クローイちゃんの回復を祈ってほしい。