『“排泄物の専門医”に質問してみよう』という人気コラムを配信する、米国テキサス州在住の胃腸に関する病気の診断と治療を専門とする、消化器専門医であるサミーア・イスラム医学博士。彼は、消化器系の内部構造について様々な角度から解説していきます。
◇尿からコーヒーのような臭いがするのは、なぜでしょうか?
基本的には、コーヒーを排尿しているからだと思われます。
尿というのは、血液中の老廃物を腎臓を通して体外へと排出しています。この老廃物が尿に、独特の臭いを加えているわけです。そのため、コーヒーを含む特定のものを食べたり飲んだりすれば、尿の臭いもそれに影響されるのです。
一般に、私たちが飲んで体内に吸収できるコーヒーの量は限られています。なので、吸収できない残りのコーヒーやその他の余分な水分は、尿中に分泌されるというわけです。このことはコーヒーに限らず、何かを飲み過ぎてしまえば尿として排出されるのです。
■コーヒーには利尿作用のあるカフェインが含まれる
(ヒドロキシ桂皮酸などの)抗酸化ポリフェノールを含むコーヒーの特定成分が、コーヒー特有の香りと健康効果をもたらしていることは、さまざまな研究から報告されています。
こういった化合物が体内で分解されると、代謝物と呼ばれる老廃物となって尿中に排出される
ため、尿自体もコーヒーのような臭いを帯びる場合があるわけです。また、コーヒーには利尿作用のあるカフェインが含まれています。つまり、カフェインによっておしっこの量は増え、人によっては大量にカフェインを摂取した際には、脱水症状を引き起こす可能性もあることを留意しておきましょう。
脱水状態に陥った場合、尿の濃度は高くなります。そして、代謝物の臭いが目立ってきますので、そんな兆候が確認できたときはすぐに水分補強をするよう心がけましょう。しかし、この段階では手遅れという場合もないわけではありません。そのためにも、事前に水分補給することを忘れずに。
またカフェインは、ナトリウムイオンの吸収を抑制する傾向があることも報告されています。よって、血液中のナトリウム量が増え、尿の濃度がより高くなる可能性が高くなるというわけです。よって、それがまた臭いの濃度を高める原因になると言っていいでしょう。
◇それは、身体に何か問題があるということでもあるのですか?
その可能性は、かなり少ないでしょう。
過度に摂取しなければ、コーヒーは有害ではありません。そして、尿からコーヒーの臭いがしたとしても、それだけで身体に何か問題があると言えるものでもありません。
しかしながら、コーヒーを飲みすぎているサインである可能性はあります。不安や焦燥感、心配事、頭痛、吐き気などの症状が出ている場合は、コーヒーやカフェインの飲み過ぎが特に当てはまります。このようなときには、控えたほうが良いでしょう。
◇臭いが出てしまうのには、決まったコーヒーの量はあるのでしょうか?
逸れに関しては、人それぞれ違うでしょう。
人によっては、コーヒーカップ1杯でそうなってしまうかもしれません。また別の人は、3杯以上飲んでもそうならないかもしれません。
また、脱水症状の程度にもよります。身体は水分補給を維持するために最善を尽くしています。そこで脱水状態になると、より多くの水分を体内にとどめようとするので、尿の濃度は高くなる場合があり、そして臭いも強くなるという事態となるわけです。
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