これまで用いられた中で、最大級の破壊力を持つ核兵器を海底の最も深い場所で爆殺させる…と、一体どんなことが起こるのでしょうか?
巨大な火の玉が海溝を埋め尽くしてしまうのでしょうか…。それとも地面がヒビ割れて、世界中のあちこちで地震や噴火が発生することになるのでしょうか…。または、爆発があったことにさえ、誰も気づかないなんてことはあり得るのでしょうか…。
今回、「Kurzgesagt」というサイエンス系YouTubeチャンネルがアニメーションを使用して、分かりやすくこの疑問を検証してくれていました。
ツァーリ・ボンバ(Tsar bomba)
サイエンス系チャンネル「Kurzgesagt」が仮説のために用いたのは、世界一の深さを誇るマリアナ海溝、そして、そこで爆発すると仮定する核兵器が…世界最大を誇るソ連の核弾頭「ツァーリ・ボンバ(Tsar bomba)」です。
フィリピンの沿岸部に伸びるマリアナ海溝は、地球上で最も深く、海面から海底までの距離は実に11キロにも及びます。エベレストの高さよりも、マリアナ海溝の深さのほうがすごい数値を示していることを皆さんご存じでしたか⁉
その海底は当然のことですが自然光は届かず、そこにあるのはまさに漆黒の闇。1平方インチ(=約6.5平方センチメートル)にかかる水圧は8トン。この環境下に適応する生物の種は、極めて限られています。
ツァーリ・ボンバ(Tsar bomba) 02
この「ツァーリ・ボンバ」は、人類が生み出した史上最大の威力を携えた核爆弾です。
ソビエト連邦の科学技術を駆使し生み出されたこの核兵器は、57メガトン…つまり、5万7000キロトンのTNT(トルエンのフェニル基の水素のうち3つをニトロ基 (-NO2) で置換した化学物質「トリニトロトルエン」でつくられた)爆弾に相当する破壊力があるとされています(比較するとヒロシマに投下された核爆弾は、TNT爆弾16キロトン分とされています)。
1961年10月30日には、「ベア(熊)」のコードネームで知られる戦略爆撃機「Tu-95(ツポレフ95;ロシア語:Ту-95トゥー・ヂヴィノースタ・ピャーチ)」より、実験のため「ツァーリ・ボンバ」が北極圏に投下されました。結果は…高さ65キロメートル、直径100キロメートル強のきのこ雲を生み出し、55キロ先の建物を吹き飛ばしましたそうです。
この「ツァーリ・ボンバ」の爆殺による衝撃波は、地球を3周したそうです。単発の核爆弾であり、その後、同様の規模の実験が為されることも、また、そのような爆弾が作られることもないということです。
「Tu-95 」“Bear” bomber
写真:「ベア(熊)」のコードネームで知られる「Tu-95」によって、ツァーリ・ボンバは運ばれました。
さて、それではその「ツァーリ・ボンバ」をマリアナ海溝の最深部に落とすと、一体どんなことが起きるのでしょうか?
核爆発の連鎖反応が巨大なエネルギーによる光を生み、漆黒の世界を明るく照らし出すことになります。火の玉はおよそ直径1キロほどまで膨れ上がるようです…が、その後、消滅してしまいます。
動画で、深海の水圧の恐るべき力をその目で確かめてください。物理現象同士の衝突ですから、どちらかが勝ち、どちらかが負けることになるのです。
From POPULAR MACHANICS
By Kyle Mizokami
Jul 24, 2018
Courtesy of @Kurzgesagt – In a Nutshell(via Youtube)
Translation / Kazuki Kimura
※この翻訳は抄訳です。
Edit / Lumiere SATO, Kaz OGAWA
外部リンク