エンリケ・ラミレス氏は、ライセンスを取得している孝明なるエステティシャンです。サロン業界でが既に、20年近くのキャリアを積んでいます。
仕事を通じて多種多様なサービスを、さまざまな相手に対し施してきました。ところが最近、ある特定の層のお客から、ある特殊なサービスのリクエストを受ける傾向にあると言うのです。そのサービスとは…”お尻の美白”だというのです。近年、ストレートの男性たちこそ、これを望んでいるようです。
ご存じない方もいらっしゃるでしょうから、ここで簡単に説明しましょう。
「肛門の美白」というものがあります。
これは、肛門まわりの肌のくすみや色素沈着を漂白し、明るく輝く肛門を生み出す美容施術です。この施術が広く世の中に知れ渡ったのは、ポルノ映画や、それから(アメリカのエンターテインメント番組『E!』で放送されているリアリティショー、『カーダシアン家のお騒がせセレブライフ』でおなじみ)カーダシアン家が行っていたことが、このトレンドを広めることの一役を担っています。
この施術はなかなか過激です。しかも、高価であることは言うまでもありません。ラミレス氏のサロンでは、セッション毎に1万2千円ほどの料金だそうです。このように男性が下半身の“身づくろい”を求めるのは、ニューヨーカーだけの風潮でもないようです。
◇男性のムダ毛処理事情
男性が自らの外見や美容に、より多くの時間とお金を注ぎ込むようになっているという事実は、もはやニュースですらありません。「国際スパ協会(ISPA=International Spa Association)」によれば、スパでのトリートメントを積極的におこなう男性の数は、2005年と比較し29%も増加しているそうです。
彼らの求める身づくろい(グルーミング)の範囲が、下の方にまで拡大してきていると聞かされても、やはり、もはや驚くこともありませんね。ポルノ作品の影響もあり、今や多くの男性が陰部の毛を脱毛するか、剃毛するかという時代になっていますので…。
スキンケアブランドの「ニベアメン」の調査によれば、「性的指向がいずれであれ、全男性の実に79%が『首から下』の体毛を、最低でも月に1度は剃っている」という結果が出ているとのことです。
驚くべきは、「下半身まわりのあれこれは清潔であるべきだ」と、厳しく教育されてきたストレートの男性は特に、カミソリを広く活用する傾向があるとのことです。
「ニベアメン」の調査結果に再び触れれば、「男性のほぼ10%が習慣的に臀部の毛を剃っているのみならず、24%がその安全なやり方を知ろうとYouTubeで関連動画を検索してことがある」ということなのです。
そして、そのような彼らはやがて、プロの手を借りることになるわけです。
「恋人や旦那さまのために、予約の電話をくださるパートナー女性や奥さまなどもいらっしゃいます」
ジョディ・シャイズさんは、2004年にクィーンビー・サロン&スパをオープンさせました。2015年になるころには男性顧客が多数となり、彼女は男性専用の2号店を開くことを決意したそうです。
現在、その「シャイズ・ラウンジ」は南カリフォルニアとシアトルに店舗を増やし、営業しています。同店の行うサービスのうち最も人気の高いものは、まさにその臀部まわりのケアなのです。
まずは、”バット・レイノルズ(The Butt Raynolds)”。こちらは「背中から臀部まで、その側部も含めて」すべての体毛を除去するサービスです。
もうひとつが”クラック・ダディ(The Crack Daddy)”。こちらは背面、側部に限らず、腰回りのすべてを脱毛します。「恋人や旦那さまのために、予約の電話をくださるパートナー女性や奥さまなどもいらっしゃいます」と、シャイズさんは言います。
このような、“後ろ側”のグルーミングについて明快な説明を与えるとすれば、それは「気持ちが良いから」ということになるでしょう。
「肛門に対する愛撫や、肛門性交をすべすべの肌で楽しみたいという人がいるのです。加えて、脱毛や剃毛の直後の肌でこそ体験することのできる、超敏感な感覚を味わいたいという人は少なくありません」と語るのは、ロサンゼルスで性と人間関係に関する教育を行うアン・ホッダーさんです。
◇陰嚢(いんのう)の毛を剃る理由
陰嚢(いんのう)の毛を剃る理由としては、「(間違った考えでは?と思いますが)そのほうが大きく立派に見えるから」という、完全なる自己満足を挙げる男性も中には存在します。
「肛門の手入れをすることが男性の間で広く受け入れられていることの背景には、「女性が性の営みについて、よりオープンになっているから…さらに男性に対して、そのような身づくろいを求めるようになったからというあるでしょう」、そうエステティシャンのエンリケ・ラミレス氏は説明しています。
しかしながら実際、こうした実態を性生活に関する統計から推し量ろうとしても、極めて困難な壁にぶち当たります。「前立腺への刺激」に話が及べば、その難しさは倍増するでしょう。
膀胱(ぼうこう)と直腸とのあいだに位置し、胡桃(くるみ)ほどの大きさとなっている前立腺は、末端神経の集中するがゆえに非常に敏感な部位です。そこでラミレス氏は、ストレートの男性にも広まっている肛門付近のケアと、前立腺の関係を指摘してくれました。
「前立腺のマッサージをおこなう器具の売り上げが、この5年間で56%も上昇している」ということなのです。おとなのオモチャの小売業を営む「レロ社(LELO)」によれば、パートナーのいるストレート男性の71%が前立腺マッサージに関心があると答えているのです。
ディルド付きベルトを装着した女性が、男性に対してアナルセックスを行うペギングと呼ばれる性行為も、近年では一般的な行為と見なされ、広く受け入れられています。2015年に大ヒットしたコメディーシリーズ『ブロード・シティ』や、その翌年の2016年にヒット作となった映画『デッドプール』においても、そのようなシーンが登場しています。
「女性にとっては興味津々ですし、それを味わった男性は病みつきになってしまいますから…」
「ペニスに通る神経と同じ神経が刺激されることから、男性も入れられるのが好きなのです。いわゆる陰部神経です。これは「肛門から会陰(えいん)、それから生殖器へと渡る神経系のことです」とメル・マガジン誌の取材に対しそのように答えているのは、メンズ・セクシャル・ヘルス・プロジェクトで臨床性科学を専門に担当しているポール・ネルソン氏です。「女性にとっては興味津々ですし、それを味わった男性は病みつきになってしまいますから」と。
私たちのベッドルームにおいて、どのような行為が為されているのかを映し出す鏡があれば、ヘテロセクシャルによる肛門性交が定番メニューとなることは明らかであり、またそれ故に肛門のグルーミングも既に一般化した様式であり、まさに身だしなみであると言えるのです。
ある種の性的行為に対し押されてきた烙印が、このようにして少しずつ打ち消さえてゆくなかにおいても、男性をサロンから遠ざける要因というものは存在します。
エステティシャンの多くは女性であり、施術のためにはクライアントと二人切りで過ごさなければならない時間というものがあります。「男性の脱毛はお断り、という女性エステティシャンは少なくありません」と明かすのはシェイズさんです。「マナーとルールを守ること出来ない男性も、なかにはいるのです。結果的に、彼等は裏口から連れ出されることになるのですが」と。
しかし、「アナルで楽しみたいという個人的嗜好からにせよ、自分で自分の尻の穴を脱毛することなどやめておいたほが良い…」と言える理由もあります、ここで紹介しましょう。
それは…性と人間関係に関する教育を行うアン・ホッダーさんはこう語っています。「陰毛の重要な存在意義があります、それは保護する作用。だからこそ、肛門や会陰の周囲に毛が生えるのです」とのこと。正しい知識をもたず、適切な前準備を怠って剃毛や脱毛を行えば、炎症や感染症のリスクを伴うとも警鐘を鳴らしています。
つまり、自分の尻を赤ちゃんのお尻のようにすべすべな臀部に仕上げたいと思うのなら、除毛に関してはやはり、プロの手に任せるべきということなのです。
もしあなたが、あそこの毛の手入れについて別に関心がない…としても、「あの素晴らしいらしい「Gスポット」の快感を体験してみたい」と思い立つこともあるかもしれません。そうなれば、「今こそ」です。それを試す最善の時は他にはありませんから…。
「少なくともこの数年間で男性にとっても、このような部分のケアがとても簡単かつ楽になったと言えるのではないでしょうか…」と、シェイズさんは言います。「テレビのおかげか、他のメディアのおかげかは分かりません。でも、男性には良い時代が来たようにも思えますね」と、最後に締め括ってくれました。
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