運動パフォーマンスの向上や筋骨隆々な見た目の実現を謳う「SARMs」と呼ばれるサプリメント群をご存じですか?
These Bodybuilding Supplements
Known as "Legal Steroids"
Are Putting Your Health at Risk
近年、「合法的なステロイド」とも呼ばれる薬物がオンラインで広がっています。
「選択的アンドロゲンレセプタ修飾因子(Selective androgen receptor modulators)」、または「SARMs」とも呼ばれるこれらの薬物の効果は、テストステロンにもよく似たものになります。
運動能力を高め、より筋骨隆々な見た目をもたらしてくれるのです。その一方で、肝臓へのダメージや睾丸の萎縮などを伴う「ステロイド」のような「ネガティブな副作用はない」とされているのですが…。
しかしここにきて、そのトレンドに警鐘を鳴らす発表があったのです。
米国医師会雑誌『JAMA』に掲載された新たな研究によれば、オンラインで販売されているSARMs成分を含む多くの製品が、未承認の薬物やホルモン、ステロイドを含んでいることが明らかになりました。
さらに、これらのサプリメントのラベルに記載された内容とはまったく異なる成分配合がなされている…いわゆる「偽装表示」であることもしばしばあることが判明しているそうです。
この研究では、SARMsとして販売されている44のサプリメントを分析しています。その分析方法は、世界アンチ・ドーピング機関がアスリートによる禁止薬物の使用を検査するために認めている方法が用いられました。
結果、これらのサプリメントの39%が、違法な成長ホルモンやステロイドなどの未承認薬物を含んでいること。さらには、25%がラベルに表示されてもいない未承認薬物を含んでいることが明らかになったのでした。
しかも59%のサプリメントは、ラベルに表示されている化合物の量が、実際とまったく異なっていたことも明らかになっています…。(次ページにつづく)
肝毒性など命に関わる
副作用が発生したケースもある。
「分析で発見された化合物のなかには、『米食品医薬品局(FDA)』で承認されていないものもありました。つまり、これらのサプリメントは販売できるものではなかったのです。また、医者がこれらを患者に処方することもできません…」と話すのは、この研究の共著者でハーバード・メディカルスクールの医学教授であるシャレンダー・バシーン医師。
ブリガム・アンド・ウィメンズ病院のメンズヘルス研究プログラムの責任者でもあるバシーン医師は、「また、これらの化合物はFDAが承認しているものではないので、その安全性や効果にはわずかな情報しかありません。一部の成分は、人間にどのような効果があるかすれ、まったく研究されていないのですから…」とも語っています。
そうして今年2017年10月、FDAはSARMsを含む製品に関して、以下のような警告となる声明を出したのでした。
「SARMsを含む製品を摂取した人々のなかには、肝毒性など命に関わる副作用が発生したケースもあります。また、SARMsには心臓発作や脳卒中などのリスク上昇につながる可能性もあり、体への長期的な影響についてはわかっていません」(FDAの声明より)
バシーン医師によれば、SARMsがステロイドのような副作用をもたらす可能性もあるといいます。
前述のようなリスクに加え、ステロイドの副作用には薄毛のほか、鬱(うつ)や攻撃性、自死について考える希死念慮(きしねんりょ)など、メンタルヘルス上の問題も多々あります。(次ページにつづく)
世界ではおよそ7%の男性が
ステロイドを試した経験がある
バシーン医師はこのようなサプリメントについて、「一流のアスリートやボディビルダーのみが使おうとするものではなく、むしろ、見た目を変化させたい若い男性が使うことも多いのです」としています。
SARMsの使用について具体的なデータはありませんが、米疫学誌『Annals of Epidemiology』に掲載された271の研究を分析した結果、「世界のおよそ7%の男性が、人生のどこかの時点でステロイドを試したことがある」という目算を出しています。なお、この割合に関して、アスリートやウェイトリフターという分類で囲った場合、その数値のおよそ3倍へと膨れ上がるそうです。
このように、ステロイドの代わりになり得るような薬物は、一部の男性にとっては魅力的なものなのかもしれません。
バシーン医師によれば、「このようにリスクの高い薬物が一部の男性を魅了しているのは、アスリートではない若い男性の間に身体醜形障害や筋醜形恐怖症などが増加しているところに寄与していると推測できます」とのこと。
今回の研究の著者はこの研究での発見について、「SARMs成分を含む、すべての製品に対して当てはまるものではない」としつつも、こういった薬物に対する規制の必要性を強調しています。
「消費者はこれらの化合物が『栄養サプリメント』として売られていることで、安全であると思ってしまうかもしれません。しかし、そうではないのです。これらの化合物は栄養サプリメントの要件を満たすものではなく、その安全性は証明されていないのです」と、バシーン医師は語ります。
※最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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From Men's Health
BY ALISA HRUSTIC
NOVEMBER 29, 2017
Translation / Wataru Nakamura
※この翻訳は抄訳です。
Edit / Hikaru SATO, Kaz OGAWA