エルヴィス死後のプレスリー家の愛と悲劇の物語、リサ・マリーVSプリシラ
プレスリー家の内部には、輝かしい音楽史と同じくらいの複雑な闘争が存在します。特に2023年1月に54歳で亡くなった故リサ・マリーと母プリシラの間に展開する深い愛と時に見られる意見の不一致は、エルヴィスの遺産を巡る対立において顕著になりました。
公開中の映画『プリシラ』を観る前に知っておきたい、エルヴィス・プレスリー死後の2人の愛と対立の歴史。
※写真は、エルヴィス・プレスリーとリサ・マリー・プレスリー、プリシラ(1968年)
エルヴィス・プレスリーの妻を描いた『プリシラ』はスキャンダラスな映画なのか?
エルヴィス・プレスリーの妻を描く映画『プリシラ』(監督・脚本:ソフィア・コッポラ、公開中)は、スキャンダルでもあった。と言うのも、この夫婦が出逢ったのは1959年、それぞれ24歳と14歳のとき。すでに大スターだったエルヴィスは、未成年の恋人を自宅に越させて同棲させたのだ。
元妻プリシラ・プレスリーの自伝『私のエルヴィス』をもとにした本作は、現在78歳の彼女が製作に入っていたにもかかわらず、歌手の資産管理団体から楽曲使用の許可を得られなかった。
夫婦の一人娘リサ・マリー・プレスリーも、反対した者の一人だ。「父エルヴィスを性犯罪者のように描いている」と危惧していた彼女は、2023年に54歳で急逝するまで、母親と複雑な関係を築いてきた。
※写真はリサ・マリー・プレスリーとマイケル・ジャクソン
マイケル・ジャクソンとの謎多き結婚を経て「お騒がせセレブ」状態となっていた2003年、このように語ったこともある。
「『私のエルヴィス』を読んで、母が私を厳しく監視してきた理由がわかった。14歳の頃の彼女は、普通じゃない体験をしていた。10代の私も、あの頃の母とま全く同じだったのよ」
※写真はトム・パーカーとエルヴィス・プレスリー(1958年)
【対立の歴史】エルヴィス・プレスリーの死
映画『プリシラ』で描かれたとおり、プリシラは24歳のとき同棲していたエルヴィスと結婚し、すぐに娘のリサ・マリーに恵まれた。
しかし夫婦関係に亀裂が入っていき、双方の不倫を経て1973年に離婚に至った。エルヴィスは、出産を経験した女性との性交渉が難しかったと語られている。
※写真はエルヴィス・プレスリーとリサ・マリー・プレスリー、プリシラ・プレスリー(1968年)
5歳だったリサ・マリーは、共同親権を得た両親それぞれの家で暮らすこととなった。プリシラが厳しい母親であったのに対し、エルヴィスは甘やかし尽くす父親だった。娘が雪を見たことがないと聞くやいなやプライベートジェット「リサ・マリー号」で、ユタ州まで連れていって雪遊びさせるほどだったという。