高血圧は心不全や心筋梗塞、脳梗塞などのリスクを高める危険があります。...しかしそれはわかってはいても、運動を続けるのはなかなか続きません。今回はなるべく簡単で続けられる運動の習慣を紹介します。
この記事は月刊誌『毎日が発見』2024年3月号に掲載の情報です。
<生活の習慣>週3~4回タオルを握る
握るだけだからながらでできる
週3〜4回、タオルを握るだけで血圧を下げる効果のあるタオルグリップ法です。
「この方法は、食事や他の生活習慣と併せて行うとより大きな効果を期待できます。力み過ぎは血圧を上げるので、最大握力の3割程度の力を意識しましょう」(久代先生)
血圧が上180/下110mmHg以上の人は、医師に相談してから行いましょう。
<準備>
フェイスタオルを4つに折り畳む。正方形に折るのも可。
タオルを端からクルクルと、両手で棒状にゆるめに巻く。
握ったときに親指と他の指がつかない程度の太さに調整する。
<やり方>
2分間握る
片手でタオルを2分間軽く握る。このとき、最大握力の3割程度の力で握るようにする。
↓
1分間ゆるめる
「握る→ゆるめる」を片方の手で2回ずつ、合計4回を、週3〜4回行いましょう。
<なぜタオルを握ると血圧が下がるの?>
タオルを握ると、前腕の筋肉が縮んで血管が圧迫され、血管内の血流が低下します。
筋肉がゆるんで血流が元に戻ります。このとき、血管の内皮細胞から一酸化窒素(NO)が分泌。全身の血管が広がり血圧が下がると考えられています。
こまめに歩く
いつもの歩き方に早歩きをプラス
体をよく動かすことも、血圧を下げることに役立ちます。
「体を動かすといっても、特別な運動は必要ありません。家事や日常の動作全般を含めて、1日7000〜8000歩、歩くようにしてください」と、久代先生。
元気な日には、いつもの歩き方を早歩きに変えるとさらに効果が高まるそうです。
「早歩きをすると、全身の血行が促され、血圧を下げる効果が期待できます。買い物に行くときは早歩きで、帰りはいつもと同じ普通歩きでのように工夫してみてください」
○有酸素運動
×無酸素運動
血圧低下には、軽く汗ばむ程度の有酸素運動を。筋肉が収縮し過ぎたり、息をこらえるような無酸素運動は、運動中の血圧がとても高くなるので避けましょう。
歩数計やスマートフォンを活用
自分がどれくらい歩いているのかを「見える化」するのがおすすめ。歩数計やスマートフォンの歩数アプリなどを使って記録してみましょう。
毎朝、血圧を測る
正しい血圧の測り方
・測るタイミング▶朝起きて1時間以内
・回数▶2回
快適な室温の部屋で、朝食をとる前に測ります。トイレは事前に済ませておきましょう。思うような値が出ないからと、何度も測定するのはNG。
測定の習慣化で自分の平均値を知る
血圧は常に変動しています。
それだけに、普段の家庭における、正確な数値を把握しておくことが大切です。
「血圧は、1日のうちで朝方に最も高い人が多いので、測定は朝がいいでしょう。起床後1時間以内に2回測ります。2週間から1カ月ほど計測を続け、できれば平均値を計算してください」(久代先生)
実は、毎日血圧測定をしている人は、血圧のコントロールをはじめ体の状態が良い人が多いと久代先生。
まずは習慣化を目指して、朝の計測を始めましょう。
構成・取材・文/寳田真由美(オフィス・エム) 撮影/米山典子 イラスト/カトウミナエ
<教えてくれた人>
日野原記念クリニック 所長
久代登志男(くしろ・としお)先生
専門は循環器学。特に高血圧の臨床と循環器疾患の予防において将来を見据えた健康サポートを行っている。著書に『高血圧がスーッと落ち着くタオルグリップ法』(洋泉社)など。