原作者も複雑な心境を吐露?
マンガのアニメ化作品で、原作にはないオリジナルの設定や描写が盛り込まれるケースは少なくありませんが、それらは場合によってはファンを喜ばせ、逆に失望させることもあります。なかには、「原作改変」が話題となって注目を集めた作品も存在します。
たとえば2021年7月に原作連載開始20周年を迎え、今まで2度にわたって映像化された『鋼の錬金術師』もそのひとつです。同作が初めてアニメ化されたのは2003年10月のことで、当時原作はまだ連載中でした。そのため作中には数多くのオリジナル要素が追加され、なかでもロゼという登場人物に至っては救いようのない悲劇が襲いかかる展開になったのです。
『ハガレン』ファンの間では「ロゼ事件」としていまもなお語り継がれており、作者・荒川弘先生も後のインタビューで「私が目指す少年マンガにおける娯楽の範囲から逸脱していた」「あの描写は通すべきではなかった」などと複雑な心境を語っていました。
ちなみに当時の監督はアニメ『シャーマンキング』などで知られる水島精二さんで、過去に自身のTwitterで「旧マンキンが後半オリジナルなのは、僕が勝手にやったことじゃなくて、集英社の要望ですからね(笑)」「ハガレンもそうだけど、こっちが勝手に変える事なんて無いですから!」とツイートしたこともあります。
また、鬼頭莫宏先生の原作マンガをアニメ化した『ぼくらの』でも、登場人物の設定が変わっており、原作では退場するキャラが生き残るなどの変更も加えられています。それらの制作背景について監督・森田宏幸さんは自身のブログで言及していましたが、アニメに対する感想は賛否両論でした。なかには「原作の方が辛い展開なので、むしろアニメは救済ルートだと思ってる」といった声もあります。
他にもアニメ『約束のネバーランド』Season2のユウゴにまつわるエピソードの省略や、もっと古いところでいえば『海のトリトン』のラストの展開なども話題にのぼっています。昔から、アニメ化に際して原作の設定や物語を大きく変えることは少なからずあったようですが、「面白いアニメを作ること」と、「原作に忠実にアニメ化する」ということのせめぎ合いは、やはり議論を招きやすいテーマなのかもしれません。
(マグミクス編集部)
外部リンク