最初から期待されていたアニメ版『ワンピース』
1999年10月20日から放送開始されたTVアニメ『ONE PIECE(ワンピース)』も、2021年11月21日(日)の放送で、アニメ1000話を達成します。放送から22年以上を経過した、その歴史を振り返ってみましょう。
もともと『ワンピース』が放送されていた時間帯は水曜日夜19時の枠。この枠は『Dr.スランプ アラレちゃん』(1981~1986年)や「ドラゴンボール」シリーズ(1986~1997年)、ふたたび『ドクタースランプ』(1997~1999年)と、鳥山明先生の作品が長年にわたって放送されていました。いわば人気の枠。この枠で放送されることになった『ワンピース』は、それだけ期待されていたことになります。
ちなみにこの時の「週刊少年ジャンプ」で連載されていた『ワンピース』は3年目に突入して100話を超えたくらい。「偉大なる航路(グランドライン)」で最初にたどり着いた島、ウイスキーピークでの戦いを描いていたところでした。アニメでは第64話くらいのエピソードになります。
原作マンガがまだ連載中ですと、必ず起こる問題が「アニメの放送が原作に追いつく」ことでしょう。近年ではシーズン制が当たり前になって、半年(2クール)ほどアニメを放送して原作のストックができるまで何年かは中断するという方式が一般的です。しかし、この頃はまだそのノウハウはなく、一般的にアニメオリジナル展開で原作との差を広げるという方式が普通でした。
それではアニメの『ワンピース』は、いつくらいから本格的なアニメオリジナルエピソードを入れたのでしょうか? ……それが意外と早く、「偉大なる航路」の突入前、第54~61話にローグタウンを出港した後に挿入されています。ここでは漂流していた少女・アピスを救出し、海軍提督ネルソン・ロイヤルと戦うという話を繰り広げていました。つまりアニメになった時に連載されていた箇所まで1年ちょっとで追いついたことになります。
作品によりますが、一般的にアニメ1話につき、原作マンガ2~4話を使用するもの。そう考えると『ワンピース』は最初から比較的、原作マンガのエピソードをあまり進めていません。常に細かいところでアニメオリジナルの展開をはさんでいました。これは当初から長い期間の放送を視野に入れていたからでしょう。
アニメスタッフの努力で、原作につかず離れず進行する
アニメオリジナルと一口に言っても、さまざまなパターンがありました。もっとも一般的なものは原作マンガの大きなエピソードとエピソードの間に差し込むパターンです。『ワンピース』の場合は、このほかにもアニメ本来のストーリー進行とは関係なく番外編的に1時間スペシャルや、劇場版に合わせたオリジナルエピソードが何本か挿入されることもありました。
また、原作マンガのスピンオフで描かれた『チョッパーマン』や、『ワンピース時代劇』といったルフィたちを時代劇化したものもアニメの番外編として製作されています。このほかにも『トリコ』(2011~2014年)、『ドラゴンボールZ』とのコラボレーションアニメも作られていました。近年ですと、読み切りマンガだった『ROMANCE DAWN』もTVスペシャルとしてアニメ化されています。
アニメで忘れてはいけない話題と言えば、時々キャスト欄で見かける「粗忽屋」名義の皆さんでしょう。これはサンジの声を担当している平田広明さんが、カルーの声を担当する際に名乗ったのが始まりでした。
もともとは平田さんが自分は「粗忽」だからという意味でハンドルネームとして使ったことがきっかけで、それを他の麦わらの一味のメンバーが面白がって、本来の担当と違うキャラを演じるときに別名義として使われるようになりました。他の麦わらの一味が使うときは「粗忽屋〇〇店」で、平田さんが「粗忽屋」または「総本店」と名乗っていました。ちなみにニセ麦わらの一味は全員が「粗忽屋」名義の声優が担当しています。
放送時間帯は、2006年10月1日から日曜朝9時30分枠に移動しました。フジテレビ系列のアニメ番組では、『サザエさん』(1969年~)『ちびまる子ちゃん』(1990年~)に次ぐ長寿作品で、東映アニメーション作品としては放送期間最長記録を更新しています。
今回の記念すべきTVアニメ第1000話「圧倒的戦力!麦わらの一味集結」は原作マンガでは第989~990話に相当していました。「ジャンプ」に連載されていたのは2020年9月上旬ですから、およそ1年ちょっとの余裕をもってアニメは進行しています。原作マンガ最終回はいつになるか分かりませんが、このままアニメが進行していけば、アニメ最終回は原作マンガ終了の1年後くらいになりそうですね。
(加々美利治)
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