真の強さを教えた「死」
迫力の戦闘シーンなど見どころ満載だった「遊郭編」が終わり、「刀鍛冶の里編」への期待もますます高まるTVアニメ『鬼滅の刃』。これまでのストーリーでは、多くのキャラたちの「死」が主人公・竈門炭治郎に大きな影響を与えてきました。今回はそのなかから印象的な最期を迎えたキャラたちを紹介します。
●炎柱・煉獄杏寿郎
まずは「無限列車編」で活躍した炎柱・煉獄杏寿郎です。下弦の壱・魘夢(えんむ)との戦いでは人質となっていた200人の一般人を守ることに徹し、炭治郎たちの戦いを援護する縁の下の力持ちとして活躍。そして上弦の参・猗窩座(あかざ)との戦いでは、自らが先頭に立ち、炭治郎たちを守り抜いた末に最期を迎えました。
そんな彼の姿は、どんな劣勢な場面でも最後まで信念を持って戦い続ける隊士としてのあり方を炭治郎たちに強く植え付けていました。また最期の言葉では「俺がここで死ぬことは気にするな 柱ならば後輩の盾となるのは当然だ」「今度は君たちが鬼殺隊を支える柱となるのだ 俺は信じる」という後輩を想う優しさも印象的でした。
●錆兎・真菰
続いては「竈門炭治郎 立志編」で登場した錆兎(さびと)と真菰(まこも)です。ふたりとも鱗滝左近次の弟子であり、炭治郎の修行中に登場しました。この頃の炭治郎は、課題である大岩を斬ることができずに心がくじけそうになっているところでしたが、錆兎と真菰は炭治郎に全集中の呼吸のコツを教え、修行相手として強敵に立ち向かう心構えを叩き込みます。結果、炭治郎は大岩を斬ることに成功します。
この後、炭治郎は鬼殺隊の最終選別にのぞみ、実は錆兎と真菰が手鬼に喰われて殺されていたことを知るのですが、ふたりとの修行の成果を見事に示して仇を取ります。『鬼滅の刃』では人から人へ代々と託される「想い」も大事なポイントとして描かれますが、まさに錆兎と真菰は自分が死んだあとにそれを体現したキャラでした。
泣ける鬼の兄妹愛
印象的な最期の姿を残したのは隊士たちだけではありません。鬼たちの最期の姿も感慨深いものがあります。
●堕姫と妓夫太郎
続いては「遊郭編」の強敵として登場した上弦の陸・堕姫(だき)と妓夫太郎(ぎゅうたろう)です。炭治郎・禰豆子と同じように「兄妹」関係であるふたりは、妓夫太郎が堕姫を操りながら戦うことができる利点を生かし、炭治郎たちを翻弄します。しかし最後は炭治郎・善逸・伊之助・禰豆子らの連携によって頸を斬られてしまいます。そして死の間際、負けた悔しさから「アンタなんかとはきっと血も繋がってないわよ」「お前さえいなけりゃ俺の人生はもっと違ってた」と互いをののしり合います。
そこへ割って入ったのが炭治郎。「仲良くしよう この世でたった二人の兄妹なんだから」と諭すと、ふたりは人間だった頃のことを思い出し、最期は妓夫太郎が堕姫をおんぶしながらあの世へ続く暗い道を歩いて行きました。
妹を人間に戻すため「鬼殺隊」となって戦う炭治郎と禰豆子。味方となってくれる人間がいなかったために「鬼」の力に頼るしかなかった妓夫太郎と堕姫。同じ兄妹でも、ちょっとしたキッカケや環境で結果が大きく変わってしまうことを考えさせられる最期でした。
●魘夢
続いては「無限列車編」で登場した下弦の壱・魘夢です。人間に幸せな夢を見せたあとどん底に突き落とし、その絶望した顔を見るのが好きという、かなり危ない性格をしています。そんな彼ですが、炭治郎たちに敗れたときには潔い一面を見せています。死の間際、彼の脳裏には……煉獄杏寿郎に対して「二百人も人質を取っていたようなものなのにそれでも抑えられた これが柱の力」、善逸に対して「アイツも速かった」、伊之助に対して「並外れて勘が鋭い」、炭治郎に対して「そもそもあのガキに術を破られてからがケチのつけ始めだ」など、最期に人間の力を認めるようなセリフが印象的でした。
●サイコロステーキ先輩
最後は「那田蜘蛛山編」のサイコロステーキ先輩です。物語では完全にかませ犬として登場。下弦の伍・累に対して「こんなガキの鬼なら俺でも殺れるぜ」と攻撃したのはいいものの、累の糸によって一瞬でバラバラに切り裂かれてしまいました。結果としては無駄死のように見えますが、この先輩の死を間近で見たことによって、累の強さが炭治郎にインプットされたと考えると、勝利にひと役は買っていたのかもしれません。
※禰豆子の「禰」は「ネ」+「爾」が正しい表記
※煉獄の「煉」は「火+東」が正しい表記
(吉原あさお)
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