よく見るとクルマのナンバーが丸見え!これって大丈夫?
クルマのナンバープレートには、「ひらがな」「分類番号」「一連指定番号」「地名」の4つが表示されています。
これらの組み合わせによりナンバープレートの内容は、ひとつひとつ異なっており、車台番号とセットで各運輸支局に登録されています。
以前から「ナンバープレートの情報により個人情報がバレる」という噂がありますが、果たして本当にナンバープレートの内容から個人情報が割り出せるものなのでしょうか。
「ナンバープレートの情報により個人情報がバレる」という噂は本当なのか?
ナンバープレートは車体ごとに発行され、それによりクルマを識別することが可能です。
ショッピングモールなどで「お車ナンバー『東京 12-34』の白い軽自動車のお客さま、ルームランプが点灯しています」など、ナンバー情報を頼りにクルマの所有者を呼び出すケースも見られます。
このように、クルマが国に登録されていることを証明したり、クルマを識別したりするために重要なナンバープレートですが、道路運送車両法第73条では以下のような決まりがあります。
「検査対象軽自動車及び二輪の小型自動車は、第六十条第一項後段の規定により指定を受けた車両番号を記載した車両番号標を国土交通省令で定める位置に、かつ、被覆しないことその他当該車両番号の識別に支障が生じないものとして国土交通省令で定める方法により表示しなければ、これを運行の用に供してはならない」
つまり、ナンバープレート(車両番号標)は、周囲から常に見えるように表示することが義務とされており、一部分でも隠すことは許されません。
一方で、SNSなどに投稿された画像を見ると「個人情報が流出しないため」として、ナンバープレートの全体にモザイク加工を施したり、一部をスタンプで隠したりしている人も多く見られます。ナンバープレートから個人情報が流出する可能性はあるのでしょうか。
国土交通省自動車局の担当者は、このことについて「ナンバープレートの表示から個人情報が流出する可能性はありません」と話します。
「登録車の情報を照会する方法としては、『登録事項等証明書』の請求が挙げられます。
これを請求するには、ナンバープレートの表示が必要ですが、加えて車台番号も必須です。
そのため、『車台番号』とナンバープレートの表示が同時に流出しなければ、個人情報が流出する心配はありません」(国土交通省担当者)
登録事項等証明書とは、車検証に記載のある内容を確認するための書類で、前述したように所有者の氏名や住所、そして個体に関する情報などが記載されています。つまり、この登録事項等証明書は、所有者の個人情報の一部そのものといい換えることができます。
また車台番号とは、国土交通省がクルマ1台1台に発行している番号を指しており、通常は車検証もしくはエンジンルーム内の刻印から確認が可能です。クルマが廃車になるまでこの番号が変わることはありません。
車台番号は、もともと人目につきにくいように配慮されていますが、万が一のために他人に知られないように配慮することが重要です。
一方で、ナンバープレートの表示も登録事項等証明書の請求に関わるものであるため、SNSなどへの投稿時に写真のナンバープレートを加工することは、間接的に個人情報の保護につながっていると捉えることができます。
ナンバープレートだけでは請求できないという事実はあるものの、万全の対策を講じるにはナンバープレートをSNSでは公にしないほうが良いでしょう。
投稿に周囲のクルマのナンバーが写ってた! これって違法になる
外の景色を写真撮影すると、周囲のクルマが意図せず写り込んでしまうことがあります。
前述したようにナンバープレートの表示は、登録事項等証明書の請求に必要な要素であり、そうした個人情報保護の観点から、SNSでは「公にしたくない/されたくない」という人も少なくないでしょう。
周囲のクルマのナンバープレートを加工せずにSNSなどへ投稿した場合、違法行為とみなされる可能性はあるのでしょうか。
総務省では、2009年に発した「利用者視点を踏まえたICTサービスに係る諸問題に関する研究会」の資料のなかで「ナンバープレートの番号からその登録名義人を照会することは容易ではないことから、個人識別性を欠き、『個人情報』には該当しないと考えられる」としています。
そのため、ナンバープレートが写り込んだ写真をSNSに掲載する行為は、プライバシー権の侵害には該当しないのが一般的です。
一方で、その写真のなかに運転者の顔も写り込んでいたり、運転者の名前などを合わせて投稿した場合には、個人情報を流出させたとしてプライバシー権や肖像権の侵害とみなされる可能性があるため注意が必要です。
周囲のクルマのナンバープレートが写った状態でSNSにアップしたらどうなる?
このように、写真のなかにクルマのナンバープレートが偶発的に写り込んでしまっていた場合には、違法性が問われることはないと考えられます。
ただし、公にされることを快く思わない人もいるため、マナーの一貫として考えると、ナンバープレートなどは加工したうえで投稿することが望ましいといえます。
外部リンク