影響大きいアクアラインの通行止め、どう対策すべき?
2019年は、例年以上に台風の影響による豪雨被害が発生しました。最近では、佐賀県武雄市や三重県四日市市などが大きな被害を受けているなど、災害レベルにまで達しています。
そんななかでも、高速道路は通行止めの規制が敷かれやすい場所です。台風や豪雨などの場合では、どのような基準で通行止めになるのでしょうか。
風の影響を受けやすい東京湾アクアラインの橋梁部
関東では、東京湾アクアラインやレインボーブリッジを通過する首都高11号台場線などが該当します。2018年9月4日から5日にかけて日本列島を縦断した台風21号の際、関東ではほかの高速道路が無規制あるいは速度規制でとどまっていたなかでも、アクアラインとレインボーブリッジは10時間以上通行止めになりました。
レインボーブリッジの場合は、他路線への迂回もそれほど苦ではないかもしれませんが、アクアラインが通行止めとなると、相当な迂回を強いられることになります。アクアラインがあるからこそ通勤できる人も少なくありません。
アクアラインが通行止めとなる基準について、NEXCO東日本関東支社は次のように話します。
「台風や大雨などの悪天候時において、NEXCO東日本の交通管理隊や警察の高速隊などが巡回し、走行が危険と判断される場合には通行止めになります。とくに海上の橋梁部(海ほたるPAから木更津金田IC)は、不安定な風が通行に大きく影響します」
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同支社によると、通行止めの目安となる風速などの基準値に近づくにつれ、巡回を強化するといいます。「とくに橋梁部では、風の強さだけでなく、風の方向も重要な要素です。下から吹き上げるような風もありますので、巡回の結果を受け、警察などと協議のうえ早めに通行止めを判断するケースもあります」(NEXCO東日本関東支社)と話します。
また、通行止めに際しては利用者に向け、海ほたるPAに留まらないよう呼びかけを実施するとのこと。気象が安定し、安全に走行できると判断されれば通行止めが解除されるそうです。
アクアラインの通行止めが及ぼす影響の大きさはNEXCO東日本関東支社でも認識するところで、「アクアラインに限っては、迂回が困難であることもあり、事前の予報もツイッターやウェブサイトで随時発信しています」といいます。
クルマと列車、同じ橋でも対応が違う理由とは
首都高速では、通行止めとなる風速や雨量の基準値は設けておらず、警察と協議のうえで随時通行止めをおこなうといいます。
レインボーブリッジに通じるJCTを通行止めにする場合、2台のパトロールカーを低速で走行させて後続のクルマを誘導し、一時的に車両のいない空間をつくって連結路を封鎖するという方法が採られるとのこと。全体の交通の流れを止めずに、必要な箇所の通行止めをおこなうようです
管轄する路線の多くが海上橋という道路会社もあります。神戸淡路鳴門道(明石海峡大橋、大鳴門橋)、瀬戸中央道(瀬戸大橋)、西瀬戸道(しまなみ海道)を管理する本州四国連絡高速道路です。同社では、全区間で共通の通行規制基準を設けています。
「10分間の平均風速が15m以上で速度規制、25m以上で基本的に通行止めとなります。雨量では、降り始めからの連続雨量が250mmを超えた段階、または100mmに達したあとに時間雨量が40mm以上となった場合は通行止めです。
巡回の結果によっては、これらの基準値以下でも警察と協議のうえ通行止めとする場合があります」
なお、二輪車はとくに風の影響を受けやすく、四輪車よりも規制が長時間続く場合があるといいます。2018年8月21日から23日にかけて台風19号と20号が影響を及ぼしたときには、大鳴門橋の区間である神戸淡路鳴門道の淡路島南ICから鳴門北IC間で、49時間以上にわたり二輪車通行止めになりました。
レインボーブリッジ。橋桁の上部が首都高、その下にゆりかもめが通っている
高速道路とJR線の二重構造となっている瀬戸大橋では、2018年8月23日から24日にかけて台風20号が本州を横断した際には、JR線は計画的な運休が実施されました。
しかし、高速道路は二輪車が21時間以上にわたり通行止めとなったものの、四輪車の通行止め規制は実施されませんでした。鉄道と高速道路とで、運休や通行止めの判断が異なる場合もあるようです。
本州四国連絡高速道路によると、「予測通りにはならないこともあり、計画的な通行止めやその周知は難しい側面があります。通行止めとなる前にSAやPAに滞在している方には、早めに動いていただくようお知らせします」と話します。
なお、地震などの大規模災害時には、高速道路を通行できる場合でも、災害対応車両などの通行が優先されて一般車両が利用できなくなることが予想されるため、災害時の高速道路利用は避けておく方が良いかもしれません。
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