族車仕様のスーパーカーが、アメリカのセレブに大人気
現在、日本のカスタムショップが手掛けたクルマが世界で話題となり、大きな人気を得ています。なかでも、アメリカ合衆国全土で脚光を浴びているのが、日本独自のクルマの改造文化である「族」スタイルです。いったい「族」スタイルとはどんなカスタムなのでしょうか?
日本発祥の「族」スタイルを見事にスーパーカーに融合させたリバティウォーク。LBシルエット・ワークスGTのボディキットもウラカンにマッチしている
「族」スタイルのパイオニアは、愛知県に本拠地を構えるリバティウォークというカスタムショップです。代表の加藤渉氏は「普通のカスタムでは面白くない」と、ランボルギーニやフェラーリといったスーパーカーのボディをサンダーで惜しげもなく切断し、リベット留のオーバーフェンダーを取り付けた独自のスタイルを生み出しました。
こうして完成したクルマを、カスタムカーの祭典であるアメリカ・ラスベガスで開催されるセマ・ショーに出展しました。すると、その強烈にインパクトのあるスタイルが話題となり、日本発祥の「族」スタイルとして全世界で一躍脚光を浴びるようになったのです。
リベット留のオーバーフェンダーにローダウンした、斬新なスーパーカーのカスタムは、流行りに敏感な海外セレブをも魅了し、あのジャスティン・ビーバー氏が所有するフェラーリ「458」をリバティウォーク仕様にしたいと申し出るほどでした。
リバティウォークがSEMAショーに初出展したのは2015年のことです。このとき、展示した車両は、通称ケンメリの4代目「スカイライン」でした。
加藤氏が幼少期にもっとも影響を受けたという、日本の暴走族仕様(族車)に仕上げて、それが海外の人にどのように受け入れられるのかを確かめたのです。
この族車仕様のケンメリ・スカイラインは、想像以上の高評価を得ました。そして海外での日本の族車に対する認知度が大いに上がり、同時に「LB★WORKS」という独自スタイルの提案に発展しました。
日本独自の「族」スタイルは、グラチャンにルーツがあった
LB★WORKSの名を一気に押し上げたのは、オーバーフェンダー仕様にカスタムしたランボルギーニ「アヴェンタドール」です。そのスタイルは、70年代のグラチャン発祥のワークスマシンからヒントを得たものでした。
その後、アメリカ生まれの飲料メーカーであるモンスターエナジーとタッグを組み、「LB★WORKS ムルシエラゴ・ドリフト仕様」を製作します。
ドリフト競技のD1でも活躍を見せた斎藤太吾選手を起用して、見たこともない大胆かつ美しいスタイルと、走りで、全世界のカーファンを魅了し、LB★WORKSの手掛けるマシンの凄さをアピールすることに成功しました。
ランボルギーニにオーバーフェンダーを装着するという斬新なカスタム
LB★WORKS仕様は、日産「GT-R」、マクラーレン「650S」、マクラーレン「MP4-12C」、フェラーリ「488」、BMW「i8」など、さまざまな車種で展開されていきます。
日本の族文化が生み出したワークスオーバーフェンダーが誇る、「どんなボディにもマッチし、カッコよく仕上がる」汎用性の高さを次々と証明していったのです。
2019年からは新たなシリーズとなる「LB★シルエットワークス」を展開します。こちらも伝統の「暴走文化・族文化」が生み出したシルエットマシンがモチーフとなっています。
ワークスオーバーフェンダーよりも派手でインパクトのあるシルエットワークススタイルは、現在、ランボルギーニ「ウラカン」とフェラーリ「458」をベースに製作されています。
LB★シルエットワークスの衝撃的ともいえるスタイリングに惚れ込み、注目したのがアメリカの有名アーティスト「ラン・イット!」でお馴染みのクリス・ブラウン氏です。先日、打ち合わせを済ませ、LB★WORKS仕様を正式に注文したそうです。
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グラチャン族(暴走族)とは、もともと富士スピードウェイで1971年から開催されていた「富士グランドチャンピオンレース(富士GC)」を観戦するために集まっていた、クルマ好きの人たちのことです。
彼らの愛車は、そのレースに参戦するレースカーのスタイルを参考に改造されていました。その改造車をグラチャン仕様と呼びます。
海外セレブを虜にする「族」スタイルとは、ルーツを辿るとグラチャン仕様のカスタムにあったのです。
なお、2020年の東京オートサロンでは、度肝を抜く新型シルエットワークスのクルマを発表するのでお楽しみに、ということです。
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