「アジアクロスカントリーラリー」参戦テスト車が華麗なデモ走行を魅せた!
三菱は2022年11月21日から26日にかけ、タイからカンボジアで開催される「アジアクロスカントリーラリー2022」に、同社が技術支援する「チーム三菱ラリーアート」として、ピックアップトラック「トライトン」で参戦します。
チーム総監督の増岡 浩氏に、参戦に際した意気込みや名門「ラリーアート」復活についてうかがいました。
名門「ラリーアート」が復活の大ジャンプ! 「アジアクロスカントリーラリー2022」に出場する「チーム三菱ラリーアート」の三菱「トライトン」テスト車両
アジアクロスカントリーラリー2022に参戦するチーム三菱ラリーアート総監督の増岡 浩氏は、長年に渡り三菱のモータースポーツシーンで活躍し続けた名ドライバーです。
なかでもクロスカントリーラリー「ダカールラリー」に「パジェロ」で参戦し、2002年と2003年の2連覇を成し遂げたことで広く知られています。
ダカールラリーをはじめ、世界ラリー選手権(WRC)といった数々のモータースポーツ活動を支え、さらに競技用パーツやカスタマイズ部品などを開発していたのが「ラリーアート(RALLIART)」です。
その後三菱では業績悪化などが続き、ラリーアートの活動を事実上休止していましたが、2021年5月の決算発表会で復活を宣言。タイで専用パーツを装着した特別仕様車を発売するほか、日本でも純正アクセサリーの販売を開始しています。
そしてアジアクロスカントリーラリー2022への参戦は、ラリーアートにとってもモータースポーツ活動復帰の大きな一歩となります。
ラリーはタイを中心に、高温多湿な気候のなかで山岳路や密林を中心とした過酷なオフロードのコースを競います。
2022年10月上旬に山梨県のオフロードコースで行われた取材会では、ラリー参戦に向け耐久試験を行った試験車両のトライトンが紹介されました。
小雨が舞う中、開発テストドライバーがトライトンでデモンストレーションを実施。滑りやすい岩場の急坂が続く非常にハードなコースをものともせず走破。見事なターンやジャンプを披露してくれました。
タフな走りっぷりですが、驚くのはこれが基本的に市販仕様のままだということです。
前後のディファレンシャルLEDやオフロードタイヤ、減衰力調整式のサスペンションに交換されていますが、ロールケージなどの補強はおこなわれていません。
ラダーフレームと強固なキャビン、2.4リッタークリーンディーゼルターボエンジン、4つのモードを持つスーパーセレクト4WD IIもノーマルのままだといい、新型トライトンの高い走破性やハンドリング性能、そして耐久性をアピールします。
三菱車が理想とする走行性能の究極系が「ラリー」の走りだった
チーム三菱ラリーアート総監督の増岡 浩氏は、ラリーに参戦する意義について次のように話します。
「我々三菱が力を入れているSUVやピックアップトラックは、どんな状況下でも“家族を守る”ことを第一に考えています。例えばドカ雪やゲリラ豪雨、台風といった悪条件のなかでも確実で安全に走る実用性です。
そしてその厳しい走りの最たるものは、どんな路面でも速く走る“ラリー”なんです」
2022年1月に開催された「東京オートサロン2022」に三菱が出展したコンセプトカー「VISION RALLIART CONCEPT(ヴィジョン ラリーアート コンセプト)」
増岡氏は、いま三菱車が最も数多く売れているというタイでその力強い走りをアピールし、ラリーアートブランドとともに、三菱車の知名度の拡大や商品力の強化につなげていきたいとします。
気になるのは、日本でのラリーアートの次なる展開です。
前出のとおり、国内では現在、「アウトランダーPHEV」「エクリプスクロス」「RVR」「デリカD:5」 の4モデルに向けた純正アクセサリーの販売を行っています。
ただし2022年1月に開催されたカスタムカーイベント「東京オートサロン2022」で三菱は、新しいラリーアートのイメージを伝えるコンセプトカー「VISION RALLIART CONCEPT(ヴィジョン ラリーアート コンセプト)」を発表しています。
新型アウトランダーPHEVがベースのコンセプトカーですが、ヴィジョン ラリーアートの名のとおり、将来のラリーアート像を示唆するモデルです。
マットブラックの塗装や22インチの極太タイヤを収めるワイドフェンダーなどで再構築され、独自の凄味を放っていました。
増岡氏も「目指している理想像は、最初から“これでどうぞ”と提案できる理想のラリーアート コンプリートカー(内外装をカスタマイズした完成車)です」といいます。
とはいえ、まだなにも明確に語ることができることはないといいますが、いずれにせよ増岡氏のなかでは明確な将来構想があるようです。
「実現までにはまだまだ時間はいただきたいですが、最終的にはそこを着地点としたいと考えています。
今は生まれたばかりですので、まずは小さく生んで大きく育てていきたい」とし、今後の進捗を見守っていて欲しいと語りました。
いつか近い将来、ヴィジョン ラリーアート コンセプトを具現化したような市販車が誕生する日が来るのかもしれません。
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ラリー参戦に向けデモ走行を行ったトライトンは、日本ではあまりなじみのないモデル名かもしれません。
しかし先代のトライトンはタイで生産されたモデルが輸入され、10年ほど前まで国内でも販売されていましたが、その後ブランクが続いている状態です。
今回お披露目された新型トライトンは、2018年にフルモデルチェンジ。タイをはじめとするアジア圏を中心に販売され、いまのところ日本国内では売られていません。
国内では現在、トヨタ「ハイラックス」が唯一の市販ピックアップトラックで、ライバル不在の状態となっています。
しかしこの9月、2023年度中の新型トライトン国内再導入が検討されているとの一部新聞報道が出たばかり。
2022年10月上旬現在も三菱からの公式発表はなく、その真偽のほども不明ですが、こちらもヴィジョン ラリーアート コンセプト同様に大いに期待したいところです。
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