散歩が楽しくなる辻典子さんの「旬の野草リース」 第1回(全4回) 幼い頃、すすきや猫じゃらしなどで、遊んだ思い出はありませんか。公園の隅や空き地、畦(あぜ)道など、どこにでもある野草。ひと工夫すれば、暮らしに四季の彩りを添える可愛らしいインテリアになります。足もとの野草に目を向けると、毎日の散歩がもっと楽しくなるでしょう。
辻 典子さん
京都・大原生まれ。大原在住。約20年前から野草でリースを作り始める。著書に『四季の野草リース』(世界文化社刊)。ハーブにも詳しく、ベニシア・スタンリー・スミスさんの庭の手伝いもしている。
宝物は自分の足もとに/辻 典子
私は懐かしい風景が残る自然豊かな京都・大原の里山で生まれ育ちました。春は鶯の声で目覚め、初夏は蛍を見て、カエルの合唱を子守唄に眠りました。幼い頃は、れんげ草やしろつめ草で冠を作って遊んでいましたが、やがて身近な野草をカメラに収めては調べ、リースを作るようになりました。
野草を摘みながら散歩をすると、いつも新しい発見があります。すすきは白のほか、赤やオレンジ系もあり、ドライにするとより鮮やかになります。どこにでもあるイネ科のネズミムギも、よく見ると幾何学的な形をしていて、魅力的なリースができます。開花後に、真っ赤な実をつける野ばらや、きらきら輝くハート形の自じ然ねん薯じょの種も大切な材料になります。
野草は時期や場所によって採れる量が違い、昨年はあったのに今年は刈られて全くないということもあります。でも、その時々に採れるものを使えば良いのです。材料費がかからないので、私は散歩から帰ると両手いっぱいに摘んできた野草で、思うがままにゆっくりと創作を楽しみます。
辻 典子さんの野草リースの世界
豆軍配なずなとスターチを合わせて。
春はきんぽうげとピンクハルジオンでリースが作れる。たんぽぽと桜が一斉に咲く大原の里。
ドライにするための野の花。
作る人/辻 典子 写真/梶山 正 協力/古道具ツキホシ
『家庭画報』2020年9月号掲載。この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。