J-WAVEが2000年から毎年続けてきたライブイベント「J-WAVE LIVE」。2020年は、9時間にわたる特番『J-WAVE HOLIDAY SPECIAL Takanawa Gateway Fest presents J-WAVE LIVE2020 #~音楽を止めるな~』をオンエアする形で開催した。出演したのは、ASIAN KUNG-FU GENERATION、KREVA、SIRUP、SKY-HI、スガ シカオ、東京スカパラダイスオーケストラ、秦 基博、ハナレグミ(※五十音順)の8組。
8月13日(木)に映像配信される前に、現時点で最新となるSIRUPのライブの模様をお届けしよう。(J-WAVE NEWS編集部)
2019年に1stフルアルバム『FEEL GOOD』をリリースし、各地フェスでも引っ張りだこ状態となったシンガーソングライター・SIRUPが、夕刻の「J-WAVE NIHONMONO LOUNGE」に登場。ラップと歌を自由に行き来するボーカルスタイルと洗練されたサウンド、その豊かな音楽的背景以上に強烈な情緒表現でリスナーを心酔させる、そんなライブの時間が始まった。今回のステージは、サポートのキーボードに井上惇志(showmore)、ベースにはFunky D (SIRUPと共にアーティストコレクティブ・Soulflexの一員)、そしてMPCに熊井吾郎(この日はKREVAのステージから移動してのダブルヘッダー出演)という、レアなバンド編成によるパフォーマンスだ。
まずは「Maybe」の、現代的なファンキーサウンドとレゲエ風メロディを立ち上がらせる4人。SIRUPの多様な音楽的ルーツに接続してゆく楽曲だが、その響きの心地良さの中にはたっぷりと哀愁が含まれており、今にも溢れ出しそうだ。疾走感溢れるビートに導かれる「Need You Bad」は、都会的で洗練されたパフォーマンスを通して、ナイーブで奥ゆかしい、ときに残酷なSIRUPの心模様が浮かび上がってくる。演奏が進むにつれ次第にシンセベースが前面にせり出し、有機的なアンサンブルが、人間臭い情緒の高まりを描いていった。
「ラジオの前でも踊ってください」と呼びかけて始まるメロディアスなハウスナンバーの「MAIGO feat.Joe Hertz」では、SIRUPのソウルフルな歌声が狂おしいシャウトへと到達し、ライブ序盤の高揚感を決定的なものにする。2020年に入ってからも絶え間なく作品をリリースし続けている好調のSIRUPだが、5月にリリースされたシングル曲「HOPELESS ROMANTIC」は、ラテンビートの上でエモーショナルに響く艶やかな歌声、そしてこの楽曲の持つメッセージに一気に惹き込まれる。
挨拶とメンバー紹介を挟んだ後には、「夕方っぽい曲をやっていきたいと思います」と告げ、黄昏の感傷的な情景が浮かび上がる「LOOP」へ。身振りを交えながら、心地よさそうに歌う。ブギーなR&Bテイストの「Evergreen」では、離別の歌にか細くも確かな希望の光が差し込んでいた。うねるようなエレクトリックベースと、ホーンサウンドのようなキーボード演奏に支えられた「Your Love」には、現代的なバンド編成であってもタイムレスなポップ表現を捕まえる、SIRUPの揺るぎないセンスが窺える。
「皆さん、聴いてますか……音楽を止めるな!!」と言い「こういう状況でもいろんな人と繋がれる、文明の利器は素晴らしいですね」と言葉を続ける。メロウなバンドサウンドに、ソウルフルな歌が溶け込む「Ready For You」は、永遠に続いてほしいと思える音楽の時間だ。「SWIM」は、奔放で遊び心たっぷりなパフォーマンスが、そっくりそのまま明日の活力となって心と身体に注ぎ込まれる。そして全10曲のステージを締めくくるのは、目下の最新シングルにしてウィズコロナ時代のアンセム「Online feat.ROMderful」。雄弁なネオソウルのグルーヴが、我々の厳しくもかけがえのない日々を照らし出すように響いた。
(取材・文=小池宏和、撮影=安西美樹)
■セットリスト
M1. Maybe
M 2. Need You Bad
M 3. MAIGO feat.Joe Hertz
M 4. HOPELESS ROMANTIC
M 5. LOOP
M 6. Evergreen
M 7. Your Love
M 8. Ready For You
M 9. SWIM
M 10. Online feat.ROMderful
「SIRUP、希望が差し込む歌声を響かせた「J-WAVE LIVE 2020」」音声版(radiko.jpタイムフリー)