[ちちんぷいぷい-毎日放送]2021年2月10日放送の「へえ~のコトノハ」では、「楽ちん」などの語幹につく「ちん」の意味を専門家に聞いていました。
「しぶちん」の「ちん」
番組が話を聞いた京都先端科学大学の丸田博之教授によると、この「ちん」は平安時代から使われていて、「小さい」という意味だとか。
例えば、小さい花や小さい鳥のことを「ちん」と言っていたそうです。
そして、「しぶちん」=「小さすぎてたかが知れてる」のように「小さい」=「大したことがない」と軽い侮べつ感が出る場合があるとのこと。
ところが、江戸時代に起こったあるブームから「ちん」は「小さい」から「かわいい」に。
徳川綱吉が「生類憐みの令」という「動物をかわいがるように」というおふれを出したのですが、日本犬である秋田犬、紀州犬、土佐犬はどれも大きいですよね。
そこで、家の中で飼える日本原産の愛玩犬「狆(ちん)」が大ブームになりました。体臭が少なく物静かな性格が、人口が密集していた江戸の暮らしに適合したのです。
このことが「ちん」=「小さくてかわいい」という意味に変わるきっかけになったそう。「例えば、関西ではおでこの広い子供のことをかわいく「でぼちん」と表現します」と丸田先生。
「楽ちん」の「ちん」
丸田先生によると、こちらは非常に歴史が浅いので語源がたどりにくいそうです。
1955(昭和30)年に源氏鶏太の小説「天下泰平」に登場していますが、語源はわからないとのこと。
そこで番組が調べたところ、昭和12年(1937)の新聞広告に「楽枕(らくちん)」という商品の文字を発見!
でもこの枕の販売元は今はなく、謎は解明されませんでした。
結局「楽だね」というより「楽ちんだね」の方が可愛らしいニュアンスが出て、楽であることを楽しむ雰囲気が出る→「楽ちん」となったのでは?という見解に落ち着きました。
「ただ、戦前には『楽な枕で楽ちん』という言葉があったという新事実は、語源をたどるうえでの非常に重要な発見。論文が書けるかも」(丸田先生)
語源ははっきりとは分かりませんでしたが、「楽ちん」は使いやすい言葉の一つであるのは確かです。
(ライター:まみ)