「女性がたくさん入っている理事会の会議は時間がかかります」
「女性っていうのは競争意識が強い。誰か1人が手をあげて言うと、自分も言わなきゃいけないと思うんでしょうね」
2月3日、東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長の発言が報道されると、たちまち大炎上。「女性蔑視発言ではないか」と、非難の声が上がった。
翌日の記者会見では「オリンピック・パラリンピックの精神に反する不適切な表現であった」と発言を撤回したものの、会長辞任は否定。さらに「面白おかしくしたいから聞いてるんだろ」などと記者に逆ギレする始末。
ツイッター上では《謝罪になってない》《こんな人が会長してることが、世界に対して恥ずかしい》と火に油を注ぐ事態となっている。
これまでもさまざまな失言で批判を浴びてきた森会長。政治評論家の有馬晴海さんは「森さんは思っていることをそのまま言ってしまう人」と評する。
「早稲田大学では雄弁会に所属していましたが、昔から森さんは大のおしゃべり。それでいて石頭で、時代に合わせて価値観を切り替えることができないのです。『男女共同参画』と叫ばれ始めて数十年ですが、政治の世界はいまも男社会。森さんは昭和12年生まれで、8歳までは男尊女卑の軍国教育で育っていますし、そのころの価値観がいまだに抜けきっていないのでしょう」
森会長の“非常識ぶり”が引き起こした今回の失言。本人はユーモアを交えて話そうという意図だったのかもしれないが、そうした森会長の“過剰なサービス精神”により引き起こされたといわれている騒動が過去にもあったという。当時を知る政治部記者によれば、それは皇室をも巻き込む事件だったというのだ。
■雅子さまのお嫁入り道具をめぐって大騒動が
「実は28年前の'93年、雅子さまのご成婚直前にあった“金箔タンス事件”に、森会長が深く関わっていたといわれているのです」
金箔タンス事件の顛末はこうだ。
天皇陛下(当時は皇太子)とのご婚約内定後、雅子さまの実家・小和田家は石川県の家具店に桐タンス2棹を注文。しかし、できあがったのはなんと全面に金箔がびっしりと貼られたタンスで、しかも注文より多い3棹だった。
当時の記事によれば、金箔タンスは次のようなものだったという。
《三カ月がかりで制作したたんすは、間口百二十一センチ、奥行き四十六・五センチ、高さ百七十六センチ。会津若松産の本柾目(まさめ)の高級桐で作ったたんすに、純度九八%の金沢金箔を二重、ところによって三重に張りめぐらしてある。金箔は十五センチ四方のものが約千六百枚》(『北國新聞』'93年6月1日朝刊)
家具店は金沢市で記者を集めて金箔タンスのお披露目会まで開き、その様子がワイドショーでも取り上げられたのだが……。小和田家の知人が当時を振り返って語る。
「注文した桐タンスに金箔が施されているということは、小和田家の方々も報道で初めて知り、たいへん驚かれたそうです。小和田家は、ごく普通の桐タンスを注文されたのですが……。このようなタンスはお受け取りできないと、すぐさま家具店に断りの電話を入れたといいます」
家具店は《善意により独断で作らせていただきました》《小和田家をはじめ、関係各位に大変ご迷惑をおかけしたことを深くお詫び申し上げます》との謝罪文も発表。「1棹1千万円」ともいわれていたが《一部で報道されているような高価なものではありません》と釈明した。
だが、この家具店はなぜ小和田家に無断で金箔タンスを作ったのだろうか? 前出の小和田家の知人も、こんな疑問を抱いたという。
「もともとは知人の紹介とのことでしたが、どうして金沢の業者に発注することになったのか……。桐タンスなら新潟や会津のほうが有名な産地です。雅子さまの父・小和田恒さんは新潟県出身ですから、不思議に思いました」
■週刊誌の直撃に森会長の回答は…
前出の政治部記者は「民間の一業者が独断で注文と違うものを作るとは考えづらい」と語る。
「金箔タンス製作を推し進めた強力な仲介者がいるといわれていました。それが、石川県選出の代議士だった森会長だというのです。小和田恒さんは、かつて故・福田赳夫元首相の秘書官を務めていました。そのとき官房副長官を務めていたのが森会長だったため、小和田家と森会長はそのころから親交がありました。金箔タンス納入の陰には森センセイの存在があった……。当時、外務省内や国会議員の間では周知の事実として語られていました」
ただ、森会長は当時、週刊誌の直撃に対して、金箔タンスの一件は「新聞で見ただけだよ」と関与を否定。家具店への仲介をしたのではないか? との質問にも「知らないねえ……」と答えるのみだった。
このような騒動があったにもかかわらず、小和田家は注文したとおりの品をと、再度同じ家具店に桐タンスを発注。2カ月遅れで東宮仮御所(当時)の雅子さまのもとへ届けられたという。小和田家がことを荒立てなかったために騒動はすぐに収束し、真相が明らかになることはなかった。
「当事者が認めていないため、断定はできませんが……。よかれと思ってやったことが大騒動になってしまったわけで、いかにも森会長が起こしそうなエピソードだと思います」(前出・政治部記者)
28年前の騒動の真相はともかく、森会長にはもう日本中を困惑させるのはやめてもらいたい……。
「女性自身」2021年2月23日号 掲載