(写真:現場を後にする水谷豊)
3月中旬の夜、東京都内の葬儀場で行われていた通夜には、200人を超える関係者が参列していた。そのなかに喪服姿で、ともに駆け付けた俳優2人が――。
3月15日に最終回を迎える『相棒 season21』(テレビ朝日系)に主演する水谷豊(70)と寺脇康文(61)だ。
亡くなったのは彼らが出演中の『相棒』のチーフプロデューサー・Aさん(享年66)だった。
「Aさんは79年にテレビ朝日に入社後、ドラマ制作畑を歩み、『遺留捜査』や『臨場』など、同局を代表するヒットドラマを数多く手がけたことで知られる大人気メーカーでした。『相棒』にはこの10年、携わってきました。
3月上旬、駐車場での転倒事故で亡くなられたそうです。いつも現場の声を優先し、役者さんとスタッフに分け隔てなく接してくれる温和な方で、人望の厚い方でした。本当に残念でなりません」(制作関係者)
じつは水谷と寺脇は『相棒 season21』クランクアップ直後も、4月1日から始まる舞台『帰ってきたマイ・ブラザー』にそろって出演する。
「ちょうどその舞台の稽古のときにAさんの悲報が入ったそうです。あまりに突然なことに、寺脇さんも水谷さんも涙していたと聞いています」(演劇関係者)
前出の制作関係者は言う。
「今回の『相棒season21』は水谷さんが“最後の相棒”として寺脇さんを再指名し、まさに『相棒』シリーズの集大成として始動しました。今年1月1日に放送された元日スペシャルは、記念すべき『相棒』第1回の脚本家の方が久しぶりに手がけました。
そして最終回スペシャルには4年ぶりに及川光博さんが復活。寺脇さんと及川さんは意外にも初共演となります。水谷さんが今シリーズで、懐かしの『相棒』メンバーたちと再会するのを、Aさんがうれしそうに眺めていたのが印象的でした。彼らとの“再会の思い出”は、『相棒』を愛してやまなかったAさんの置き土産となってしまいました」
テレビ朝日は、Aさんの逝去に際し、こんなコメントを本誌に寄せた。
《「相棒」をはじめ数々の名作ドラマを手がけてきた社員の突然の訃報に接し、深い悲しみを覚えております。大変優秀なプロデューサーでしたので残念でなりません。心からご冥福をお祈り申し上げます》
『相棒』をともに作り上げている“相棒”の突然死。通夜に参列した水谷は憔悴していたという。