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「お出迎えの前、雅子さまは陛下に『こういうご会見は久しぶりですね』とお話しになっていました。久々に海外の賓客とお会いになるということ以上に、今回の会見にかけるご熱意を感じました」
雅子さまのご様子をこう振り返ったのは、ある宮内庁関係者だ。7月27日、天皇陛下と雅子さまは、来日したインドネシアのジョコ大統領夫妻と会見された。
2019年12月にウズベキスタン大統領夫妻と会見されて以来、雅子さまは2年半ぶりに国際親善のご活動を再始動させた。同い年のイリアナ夫人との会話も、終始弾まれていたという。
「イリアナ夫人が出身地ゆかりの歌を口ずさむと、雅子さまが『知っています』と応じられる場面もありました。また、夫人が子どもたちへの感染症対策を普及する活動に取り組んでいるといったことなどが話題となったそうです。
お見送りの際には、イリアナ夫人のしぐさに合わせて、雅子さまは手を合わせるインドネシア風の挨拶をなさっていました。非常に和やかで打ち解けた雰囲気でのご交流だったと伺っています」(前出・宮内庁関係者)
この日、流水に花が描かれた淡いピンクの着物をお召しになっていた雅子さま。今回の会見から、皇后としてのご自覚の強さが感じられたと話すのは、名古屋大学大学院准教授の河西秀哉さんだ。
「和服は洋服よりも心身ともに負担が大きいとされています。インドネシア大統領夫人の民族衣装に合わせて対応されたということは、日本を代表して会見の場に出られるということを強く意識されているからなのでしょう。
また、相手方の情報を積極的にリサーチして会見に臨まれているという印象を持ちました。雅子さまの他文化への深い理解や知識は、幼少期からの海外生活や外務省に勤務されたご経験によって培われたところも大きいと思います。
しかしそれ以上に、皇后となられた今も常に学びを欠かさずに続けていらっしゃるのだと、今回の会見で感じました」
■制約が多くとも歩みを止めずに…
コロナ禍もあり、雅子さまは2年半にわたり国際親善にまつわる行事にご参加できずにいた。じつは、今回の会見に関する発表は異例のものだったという。
「ジョコ大統領夫妻の来日にあたって、両陛下がそろって会見なさるということを、外務省は来日の1週間前に発表しています。
ご体調のこともあって、最近の雅子さまの行事日程については、当日まで出席が明確にされないことが多く、これほど早い事前発表は異例のことだったのです。
それだけ雅子さまは、“何としてもジョコ大統領に会う”という決意を固めていらっしゃったのでしょう」(皇室ジャーナリスト)
なぜ雅子さまはご臨席を強く望まれたのかーー。
インドネシアは、今年のG20サミット議長国。ジョコ大統領は、11月のサミットにロシアのプーチン大統領とウクライナのゼレンスキー大統領の参加を呼び掛けているのだ。『インサイドライン』編集長でジャーナリストの歳川隆雄さんはこう解説する。
「ジョコ大統領は、ウクライナでの戦争を停戦に導くキーパーソンであることは間違いありません。プーチン氏とゼレンスキー氏を招いて停戦に向けた対話を進展させることで、国際社会におけるインドネシアの存在感を高めたいという狙いがジョコ大統領にはあるのでしょう」
サミットへの参加にプーチン氏は前向きとされる一方で、西側諸国は強く反発しており、実現の可能性については不透明な状況が続いている。しかし、ジョコ大統領が停戦のキーパーソンであることを十分に理解されているからこそ、雅子さまは会見に並々ならぬ熱意を持たれていたに違いないーー。
「2月にロシアがウクライナへ侵攻して5カ月あまり、戦火にさらされる人々の苦痛に、雅子さまは心を痛めていらっしゃると拝察しています。こうした停戦への動きに対しては、雅子さまもひそかに期待されていると思います」(前出・宮内庁関係者)
ウクライナばかりでなく、内戦や紛争によって苦しむ人々に対して、雅子さまは常に心を寄せてこられた。2016年12月の誕生日の文書回答では、こう綴られている。
《人々が、広い心を持ってお互いの違いを乗り越え、共に手を携えて英知を結集し、様々な問題の解決に向け一致して取り組むことが、今の世の中で大切になっていると感じます》
コロナ禍のために海外訪問を阻まれ、国内でのお出かけすら制限があるなかでも、雅子さまは情報の収集を欠かすことはなかった。前出の皇室ジャーナリストはこう語る。
「雅子さまは一貫して、“私も平和の使者に”というお気持ちで、陛下とともに国際親善のお務めに臨まれていると思います。
ウクライナとの国境近くにロシア軍が展開し始めた昨秋より、両陛下は外務省幹部から情勢について説明を受けられてきました。雅子さまのお気持ちは揺れることなく、再始動に向けて研鑽を積まれてきたのです」
雅子さまが平和の担い手になられることに、世界が期待を寄せる日も近いーー。