「最近、『新型コロナウイルス感染症オンライン相談』を開いたのですが、数日にわたり微熱が続く医療関係者や、2週間ほどせきが続く患者さんなどから問い合わせがありました」
こう語るのは「ナビタスクリニック」の理事長で内科医の久住英二さん。同クリニックでは1件につき約5分(自由診療3,000円)のオンライン相談を始めたが、毎回、所定時間をオーバーするという。
「相談を受けていくなかで感じるのは、全国的に小中高が休校になるなど“外出禁止ムード”が漂ういま、みなさんが、日々をどう過ごすかで多くの疑問や不安を抱えているということです」
感染リスクを下げるには一体どこまで気をつけないといけないのかーー。誰もが抱える生活上の“不安”を久住さんと米国国立衛生研究所の病理医・峰宗太郎さんが解決してくれた。
【日常の不安1】
すでに春休み状態の子どもに田舎の両親は「会いたい」と言っています。子どもを帰省させても大丈夫でしょうか?
「お子さんに鼻水やせき、たんなどの症状があれば、帰省は避けましょう。一方、無症状の場合は判断するのが難しいのが正直なところです。無症状でも子どもがウイルスを持っていれば、感染する可能性はあります。子どもにとっても長い時間、新幹線などの公共交通機関に乗ることはリスクです。悩ましいところですが、少し様子を見てはどうでしょうか」(峰さん)
【日常の不安2】
私がパートの日に老親はデイサービスを利用しているのですが、外の施設に預けることに少し気が引けています
「外に働きに出ているようなご家族と一緒に住んでいるなら、デイサービスを利用してもしなくても、感染リスクはさほど変わりません。過度に外出を恐れる必要はないです。また、デイサービスの事業所には、コロナ対策をしているか聞いてみてください。中国では公衆浴場での感染も報告されています。デイサービスの入浴サービスはしばらくお休みにしてもらうなど、相談してみてもいいかもしれません」(峰さん)
【日常の不安3】
病院や保健所に相談しても一定条件をクリアしないと検査できない今、感染を疑うべき症状を知っておきたいです
「新型肺炎に特徴的な症状を挙げるのは難しく、鼻炎やせき、たん、鼻水など風邪の症状全般が出ます。これらの症状を発症したら、まずは外出を避け、安静にして、必要なら市販の風邪薬などで対処してください。普通の風邪なら3〜4日で改善していきますが、治らずに発熱や動けないほどの激しい倦怠感、息苦しさが出たら(高齢者や持病のある人は2日)、速やかに地域の保健所、医療機関に相談しましょう」(峰さん)
【日常の不安4】
家族に感染の疑いがあるときは、どう対処すればいいのでしょうか
「疑いのある人は個室で静養し、せきエチケットを守って飛沫を飛ばさないようにすることです。ドアノブなど接触感染する場所は消毒し、換気も30分に1回など、積極的にしましょう。お風呂のタオルは感染者が使ったものは使わないなど、物の共用は避けることも基本。感染者の入浴は一番風呂ではなく、しまい湯にすることも忘れずに」(久住さん)
終息の見通しが立たず、今の生活がいつまで続くかわからない。だからこそ、感染リスクを下げると同時にストレスをためずに続けられる生活も心がけたい。
「女性自身」2020年3月24・31日合併号 掲載