「お前はたいしたもんだよ。よくやったよ、寿一。みんなのことを笑顔にしてくれてさ。奮い立たせてくれてさ……。人様のぶんまで闘って、舞って、ケガして、笑って、そんな奴いないよ」
これは3月26日に放送されたドラマ『俺の家の話』(TBS系)最終回でのセリフ。終盤で、西田敏行(73)演じる人間国宝の父・観山寿三郎から長瀬智也(42)演じる息子・寿一に語られたものだ。
それはまるで、まもなく“表舞台”から去る長瀬へのはなむけの言葉のようであった――。
3月31日をもって、現体制での活動に終止符を打つTOKIO。長瀬は、同日付で事務所を退所し、クリエーターに転身するという。城島茂(50)、国分太一(46)、松岡昌宏(44)の3人はジャニーズ事務所の関連会社である「株式会社TOKIO」を設立し、その一員として活動する。
残る3人は今後も“TOKIO”を守り続けていく。
「4月から新会社の社長となる城島さんは“雇われ社長”と笑っていましたが、経営の勉強もしているそうです。また、昨年7月には個人事務所も設立したと聞いています。広報的な役割を担う国分さんは、3月25日にTwitterアカウントを開設。松岡さんは、人脈を生かして親しい業界関係者に連絡を取り、今後に向けた営業活動をしているそうです。
レギュラー番組の『ザ!鉄腕!DASH!!』(日本テレビ系)は長瀬さん退所後も、企画の中身を変えて、3人を中心に続けていくと聞いています。長瀬さんに“辞めた負い目を感じさせたくない”という気遣いもあるのでしょう」(テレビ局関係者)
■長瀬はすでに自作曲のストックも
いっぽうで気になるのは長瀬の今後。“裏方”として多彩な才能を遺憾なく発揮していくようだ。
「業界誌でも注目されるほど、長瀬さんは大のヴィンテージバイク好き。10年ほど前から参加しているヴィンテージバイクのレースで好成績を残すべく今後は本格的に注力していくそうです。また洋服のデザインや映像制作にも今後は取り組んでいくと聞いています」(音楽関係者)
なかでも、特に長瀬が心血を注ぎたいのが音楽活動だという。
「TOKIOは’19年に活動25周年を迎え、ライブも予定していたそうですが、元メンバーの山口達也さん(49)が’18年5月に脱退。それ以降、音楽活動を行うことはないまま、長瀬さんは退所することになりました。
TOKIOでも作詞作曲やアレンジを手掛けるなど、長瀬さんの音楽活動への情熱は相当なもの。すでにいくつか曲を書きためているそうで、今後は親しい仲間と趣味的にバンド活動を行っていきたいと考えているといいます」(前出・音楽関係者)
新天地で始まる長瀬の第二の音楽人生。そこには心強い“師”もいるという。それは冒頭のドラマ『俺の家の話』で脚本を担当した“クドカン”こと宮藤官九郎(50)だ。
これまでドラマや映画で5度のタッグを組んできた長瀬と宮藤。6度目となる本作は、“TOKIOの長瀬智也”として演じる最後の作品となった。2人は固い絆で結ばれているようだ。
「デビュー当初は、繊細な美少年の役柄が多かった長瀬さんですが、宮藤さんが脚本を務めた’00年放送の『池袋ウエストゲートパーク』(TBS系)が転機に。ワイルドでコミカルなキャラクターを演じたことで役者としての幅が大きく広がりました。
長瀬さんは、自分の新たな魅力を引き出してくれた宮藤さんに感謝しており、『生まれ変わるならクドカン』と言うほど信頼を置いています。宮藤さんにとっても、初の連ドラとなり、この成功で一躍人気脚本家に。以来、宮藤さんは“長瀬さんを主人公にした作品であれば何でも描ける”と公言しています」(前出・テレビ局関係者)
■「思ってくれる人たちがいる限りやりたい」
そんな相思相愛の2人には、退所後に描いている“秘密の計画”があるという。
「2人がタッグを組んだ’16年の映画『TOO YOUNG TO DIE!若くして死ぬ』のクランクアップ後に長瀬さんが宮藤さんの所属バンド『グループ魂』のライブに特別出演するという計画があったのですが、スケジュールが合わず実現にはいたりませんでした。退所後に、長瀬さんが宮藤さんのライブにサプライズで“友情出演”する可能性もあるでしょう。
また長瀬さんは制作にも興味があるので、宮藤さんの映画や舞台を手伝って、勉強することも構想にあると聞いています」(長瀬の知人)
長瀬が描く“師匠”宮藤のもとでの弟子入り裏方修業計画。その先には、多くのファンが熱望している“俳優復帰”の未来もあるようだ。
「長瀬さんと宮藤さんは、ほぼ5年周期でタッグを組んでいます。宮藤さんは長瀬さんが裏方として活動していく選択を尊重していますが、“やっぱり5年に1回は一緒に作品を作りたい”と考えているそうです。
長瀬さんも退所後はしばらく俳優活動を行う考えはないそうですが、宮藤さんの頼みとあれば、また表舞台に立つ可能性はあると思います」(舞台関係者)
かつて、長瀬は宮藤と対談した際、宮藤とのタッグ作品にファンからたびたび熱烈な反応をもらうことを明かしたうえで、こう語っている。
《宮藤さんとの作品に対してそういうふうに思ってくれる人がすごくたくさんいてくれてるんだなって実感するんですよ。で、やっぱりそう思ってくれる人たちがいる限り、やっていきたいって思いますね》(『Cut』’16年2月号)
『俺の家の話』のラストは、死んだはずの寿一がプロレスのリングに上がるシーンで締めくくられている。宮藤のもとでの修業を経た長瀬が再び表舞台の“リング”に上がる日が来ることをファンは願うばかりだ――。
「女性自身」2021年4月13日号 掲載