「いまの私の生の声は説得性がありません。さまざまな不信感や不快感を視聴者の皆さまに与えてしまうと思います。私がこの愛する『THE TIME,』を司会として出演させていただくことはふさわしくないと判断いたしました」
9月2日、TBSの情報番組『THE TIME,』で放送されたのは香川照之(56)の録画映像。香川は沈痛な面持ちで番組の金曜司会を降板する旨を説明した。
テレビ局関係者によれば、
「ホステスへの性加害報道の直後は『3年前の出来事をなぜいまほじくり返すのか』と、香川さんを擁護する声もありましたが、その後も香川さんのクラブでの乱行などが次々に明らかにされ、スポンサー各社もCM打ち切りを決断したのです」
香川はトヨタ自動車、東洋水産など、有名企業7社のCMに起用されていた。だがドミノ式に、放送の見合わせや契約を更新しないことなどが発表され、9月2日時点で「(今後については)検討中」と回答しているのは1社のみに。
ある広告代理店関係者は、今回の性加害騒動による経済的な損失について次のように語る。
「香川さんはドラマに出ずっぱりの俳優で、キャラクターがユニークということもあり、CMの契約料は1本につき年間5千万円ほどでした。しかし女性への性加害が事細かに報じられたことで、イメージは底辺にまで落ちています。当分は新しいスポンサーが現れることもないでしょう。CMだけでも年間4億円近くの減収となります。
さらに情報番組の司会も降板しましたし、原作・プロデュースを手がけていたミニアニメ『インセクトランド』(NHK Eテレ)の放送中止も発表されました。今後はドラマへのオファーも激減する見込みです。最大で年間にして5億円近くもの収入を失ってしまうことになりかねません。
特に長年蜜月を続けてきたTBSからの信用が消えてしまったことは、香川さんの今後の俳優活動に大きなダメージを及ぼし続ける可能性が高いですね」
■TBSとは俳優デビュー前から縁が
香川とTBSとの関係は、なんとデビュー前から始まっている。東京大学4年生当時には、TBSのドラマ制作現場のADを務めていたこともあるのだ。
彼は’15年にラジオ番組で当時のことをこう語っていた。
「この世界に入ったことなかったんで、ちょっと母親に頼んだら、石井ふく子先生に頼んで。『ADをやってみたらどうか?』と……」
母・浜木綿子(86)が、親交のあったTBSプロデューサー・石井ふく子さん(96)に息子のことを頼んだというのだ。
前出のテレビ局関係者はこう明かす。
「実は浜さんは、香川さんの芸能界入りには大反対でした。そこで石井さんに相談して、『芸能界の現場の過酷さを知ればあきらめてくれるのでは』という結論に達したのです。
実際、現場では泉ピン子さんによくしかられていたのだとか。でもそんな母心が裏目に出てしまいました。香川さんは『ADはつらすぎる。役者としてドラマに出るほうが楽なのでは……』と考えるようになってしまったのです」
’88年、当時22歳の香川は石井さんがプロデュースした単発ドラマ『空き部屋』でストーリーの鍵を握る青年役を好演。このドラマはいまもTBSの名門枠とされる『日曜劇場』の作品だった。
それから34年、近年は『半沢直樹』シリーズや『99.9-刑事専門弁護士-』シリーズなどに出演し、“ミスター日曜劇場”とまで呼ばれるようになっていたのだが……。
TBS関係者が嘆息する。
「『THE TIME,』への起用は、香川さんとウチの長い信頼関係があってこそのものでした。特に報道部門関係者の間では、『なぜ司会就任前に、ホステスとのトラブルについて報告していなかったのか』と、香川さんへの批判の声が上がっています。なかには『当分は出入り禁止にするべき』という意見も出ています。
香川さんもメイン司会の安住紳一郎アナウンサーに『迷惑をかけてしまって申し訳ありません』と、電話で謝罪したと聞いています」
またドラマ部門関係者の動揺も大きいという。
「昨年10月の『東京ドラマアウォード2021』授賞式には『半沢』の演出を担当した福澤克雄監督が出席し、『できれば半沢直樹が頭取になるくらいまでやってみたい』とコメントしていたのです。しかし香川さんを起用しないとなれば、その構想もかなり厳しくなってしまいます」
本誌が「香川氏のTBS出入り禁止は事実なのか」「『半沢直樹』続編制作構想は白紙に戻ったのか」と、2点について質問状を送ったところ、TBS広報部からはいずれについても《事実ではありません》という回答が。
だが前出のテレビ局関係者はこう語る。
「香川さんは、10月スタートの日曜劇場『アトムの童』にも主人公の“敵役”として出演予定でした。すでに収録もスタートしていますが、降板が決まったと一部スポーツ紙などで報じられています」
社会派ドラマも多いTBSでは事実上の“出演禁止”状態になってしまったという香川。
『THE TIME,』の録画映像では5回頭を下げていたが、この状況を打開するためには“大和田常務”ばりの土下座も辞さない覚悟が必要になるかもしれない。