宮沢りえ(45)、チェ・ジウ(42)、LiLiCo(47)……近年、目にすることが多くなったのが40OVERの女性芸能人による「熟年婚」。そこで今回、精神的にも、経済的にも自立したこの世代が「熟年婚」で成功するための秘訣を徹底取材。恋はまだ、遠い日の花火ではない!!
「結婚しようと思ったのは、『一緒にいてこんなに楽な人はいないな』と思ったから。よく夫婦になると2人の関係性が変わってしまうといわれているけれど、私たちは何も変わりません」
そう話す小林幸子さんが電撃入籍を発表したのは57歳のとき。お相手は8歳年下で、再生医療会社を経営する林明男さんだ。世間的に言えば十分すぎる「熟年婚」だが、10歳でのデビュー以来、「頭のなかは常に『仕事』。『結婚』はまったく頭になかった」という小林さんにとってはこのタイミングが必然だったという。
「もし若いころに主人と出会っていたら、『あ、どうも』ですれ違っていたでしょう」(小林さん・以下同)
歌謡界のスターという看板を背負い、肩に力を入れて走り続けてきた小林さんがようやく出会えた、スッと力を抜ける相手、それが林さんだったのだ。
「レストランで私がお会計をしようとしたら、『何をしているんですか?』って怒るんです。そんなことも私にとっては新鮮でしたね。何しろプロポーズの言葉が、『小林幸子の人生を背負わせてください』でしたから。『背負う? 私何キロかしら?』って言ったら『そうじゃない』って(笑)」
もちろんこんなやりとりができるのも、互いに対するリスペクトがあるからだ。結婚発表の翌年、小林さんはニコニコ動画の生放送に初登場。歌謡界からの「降臨」として話題を呼び、若者たちの間でブレークを果たしたが、じつは、この挑戦の陰にも林さんの存在があったという。
「(ニコニコ動画という)演歌とはもっとも遠い世界からのオファーでしたから、はじめは私も『それって、何?』と躊躇していたんです。そんなときに、『思い込みを捨て、思いつきを拾う』という言葉を教えてくれたのが主人でした。これは彼の仕事のうえでも大切な考え方で、どの世界にも共通することだなぁと思って。彼は苦労しながら23歳で会社を起こしていて。私と通じる部分もあるし、何より尊敬の思いは常にあります」
結婚から7年、晩酌をしながらの夫婦の会話は尽きることがないという。
「まったくけんかをしたことがないんです。私の不機嫌のスイッチが入りそうになると、彼はひゅっと話を変える。そのやり方が天才的にうまいんです。夜食を作るのも彼のほうが手早いですね」
共通の趣味はスキューバダイビング。結婚前から親しんでいた小林さんに対し、林さんは素人同然だったが、あっという間上達し、いまは林さんのほうが上級者に。
「朝、『ちょっと行ってくるよ』って出かけていって、ライセンスを取って帰ってきてしまう。そんな人です」
ここまで聞いてくると小林さんが一方的に寄りかかっているようにも思えるが、こんなエピソードも。昨年、林さんの会社の支援する研究グループがiPS細胞の研究に成功し、世界的な注目を集めたときには……。
「もう私も大騒ぎ。2人で乾杯して酔っ払いました。それほどうれしくて」
かたや歌謡界の大スターとして、かたや世界を股にかける経営者として、多忙な毎日を送る小林さん夫妻。互いに自立しながら夫婦の絆を大切に育んでいる小林さんは、自身の経験から「熟年婚」についてこんなふうに語ってくれた。
「いい年になって寂しいから誰かに寄りかかろうという結婚は違うと思いますね。結婚していようがいまいが、寂しさは自分で克服しなければならないことですから。作曲家の遠藤実先生が『寄りかかるのではなくお互いに寄り添うのが結婚』とおっしゃっていましたが、まさにそのとおりだと思います」