10月16日は「孫の日」。聞き馴染みのない人も多いかもしれないが、年配の方へ感謝を伝える毎年9月第3月曜日の「敬老の日」に対して、1999年に制定された記念日だ。もともとは祖父母から孫にメッセージを伝える日として、敬老の日から約1カ月後となる毎年10月の第3日曜日に設定されている。
コロナ禍によって孫と直接触れ合う機会は減った人も多いだろう。しかし、ソニー生命保険が今年9月に公開したシニア世代(50〜79歳)へのアンケートでは、孫のための出費額が前年比を大幅に上回るなど、交流も回復しつつある。
そんな孫との時間を愛おしむのは有名人も同じ。そこで、これまで本誌が目撃してきた孫との交流を振り返りたい。
■井上陽水
今年6月に「女性セブン」で、個人事務所の社長を昨年末に辞任し、引退準備を進めていることが報じられた井上陽水(74)。「少年時代」「氷の世界」といった代表曲に加え、再始動を発表した中森明菜(57)に「飾りじゃないのよ涙は」を提供するなど、日本音楽界に与えた影響は計り知れない。
普段は常にサングラスをかけてミステリアスな雰囲気を漂わせている井上だが、孫の前ではそうではないようだ。04年10月中旬、本誌は都内の名門インターナショナルスクールで井上を見かけた。その日はスクールの年一度のバザーが開催されており、子供を通わせている有名人夫婦たちも訪れていた。
Tシャツにジーンズ姿とラフな姿の井上だが、その腕には大切そうに抱えられた赤ちゃんが。そして、井上の隣には妻・石川セリ(69)の姿もあった。井上が抱える赤ちゃんは、長女が03年に出産した初孫。井上はサングラスをすることもなく、石川と談笑しながら時折赤ちゃんに笑顔を向けるなど、終始楽しげな様子。カリスマミュージシャンも初孫の前では、“普通のおじいちゃん”だったようだ。
■樹木希林さん
独特の“孫育論”を語っていたのは、樹木希林さん(享年75)。18年9月に亡くなった希林さんだったが、その直前に本誌へ初孫への“優しい忠告”を遺していた。本木雅弘(56)と内田也哉子(46)の長男であり、現在はモデルとしてユニクロのCMに出演するなど活躍を見せているUTA(25)。パリコレでモデルデビューして注目を集めた18年6月、希林さんへUTAについて尋ねると、「孫は昔からやたらと背が高かったから。鴨居に頭をぶつけるだけじゃなく、何か利用方法はないものかね、と前から私は言っていたんです。そういう意味では、モデルという仕事も“利用方法”の1つですよね」とコメント。
そして、「不満を抱いている感じが、いつも目や口元に出ているでしょ。あの感じが私はいいと思っています」と顔立ちを褒めながらも、二世俳優の可能性を聞くとーー。
「(孫は)タレントとか俳優には全然向いてないね。だって、まったくしゃべらないもの。こんなにおしゃべりなおばあちゃんやおじいちゃんがいるのにね。私としては、できれば玉の輿に乗ってもらえれば安心。男の子だから“逆玉”かな」
孫であっても容赦なく言う希林さんだったが、当のUTAはその“魂”を受け継いでいた。三回が迫った20年9月上旬、本誌は自宅近くで車を停車させたUTAに話を聞くと、モデルデビューの背中を押してくれた希林さんの言葉について教えてくれた。
「亡くなる1年前くらいですね。自分がモデルを始めようか迷ってるとき、おばあちゃんが声をかけてくれたんです。『いいかい、モデルってのは自分を客観的に見る仕事でもあるからね。新しい視点で勉強にもなるし、面白いんじゃないかい?』って。また『人の作った洋服やモノを身につけ、それも輝かせなければならない。それを活かすも殺すもあなた次第』とも言ってくれました」
さらに、UTAが乗っていた車は希林さんが生前“最後の愛車”と大切にしていたクラシックカー。希林さんの死後、受け継いだ車についてUTAは「(初めてハンドルを握ったときは)やっぱりおばあちゃんのぬくもりを感じましたし、とても懐かしい気持ちになりました」と大切そうに語っていた。
有名人祖父母からの愛情を受けた孫たちはきっと羽ばたいていくことだろうーー。