昨年12月に英国の製薬会社が厚生労働省に国内での使用を認めるよう申請を出していた経口避妊薬。望まない妊娠を避けられると期待されていたが、5月17日、厚生労働省が示した見解に、批判の声が集まっている。
神奈川新聞によると、参院厚労委員会で社民党の福島瑞穂党首(66)が「人工妊娠中絶の高額な手術費用や男性側の同意を得るとの条件が、望まない妊娠への対応を阻んでいる」と、これまで日本で広く行われてきた中絶手術の問題点を指摘。「新生児遺棄などの痛ましい事件を防ぐために経口避妊薬は有効だ」と続け、経口避妊薬の早期承認を求めた。
すると橋本泰宏子ども家庭局長は、「服薬での中絶でも配偶者同意は必要だ」と答弁したというのだ。
これに対し福島氏は「配偶者同意が必須なら(薬が)承認されても現状と変わらない」「厚労省も推進を担うリプロダクティブ・ヘルス&ライツに反する」と厚労省の見解を批判したという。
「“リプロダクティブ・ヘルス&ライツ”とは、性や妊娠・出産に関して当事者である女性自身が自己決定でき、そのための健康を享受できる権利のこと。厚労省は妊娠・出産など女性が直面する健康上の問題について社会全体の意識を高めるため、施策の推進を担ってきました。しかし今回の厚労省の答弁はそうした姿勢とは反し、女性の自己決定権を無視しています」(社会部記者)
これを受け、SNS上では批判が噴出した。
《経口中絶薬の服薬に関して、望まぬ妊娠の危険があっても女性は配偶者同意なしに使用できないなんて…あまりにも理不尽で驚きを隠せません。残念ながら男尊女卑の考え方が残ってる証拠だと思います。女性は男性の所有物ではありません。守るべきなのは加害者の権利ではなく被害者の権利であるべきです》
《なんで他人が飲む薬に専門家でもなんでもない配偶者が口出しできるの?意味不明なんですけど?》
《自分の体のことなのに何故配偶者の許可が必要なのでしょう。婚姻していない場合は?レイプの場合は?女性が自分のことを自分で決めるだけなのに、何故こんなに妨げられるんだろう》
《女性が中絶したい場合って、望まない妊娠をした時でしょ?望まない妊娠をさせた男に文句言う権利有るの?》
女性の意志が尊重される社会認識を作るのは、リプロダクティブ・ヘルス&ライツを推進する厚労省の役目ではないのだろうか。