国葬に参列された天皇陛下と雅子さま(写真:代表撮影/AP/アフロ)
9月19日、ロンドン中心部のウェストミンスター寺院で執り行われたエリザベス女王の国葬に参列された天皇皇后両陛下。英国に到着時は黒いマスクを着用されていたが、国葬には“ノーマスク”で臨まれた。
「両陛下は新型コロナ対策のため、これまで国内の行事などに出席される際はマスク着用を徹底されていました。しかし、日本と感染状況が異なる英国ではすでに“ノーマスク”が定着しています。そのため、他の参列者とは異なる印象を与えないように、両陛下は現地の人々にならってマスクを外されたようです」(皇室ジャーナリスト)
即位後初めてとなる両陛下の海外訪問。雅子さまにとっては皇太子妃だった’15年7月にトンガを訪問されて以来、約7年ぶりとなった。
現地時間18日午後にバッキンガム宮殿で開かれたチャールズ新国王主催のレセプションと、エリザベス女王の棺が置かれているウェストミンスターホールへの弔問は陛下お1人で臨まれた。雅子さまは翌日に控えた国葬に万全の体調で参列するため、出席を見送られた。
「療養中の雅子さまが国葬参列を決断されたのは、強い思いがあってのことだったと言われています。英王室は日本の皇室と最も親交が深いヨーロッパの王室です。本来であれば両陛下は、エリザベス女王から招待を受けていた’20年春に英国訪問されるはずでした。しかし、新型コロナの影響で延期となってしまったのです。そうしたなかでのエリザベス女王の逝去は、とてもショッキングなできごとでした」(前出・皇室ジャーナリスト)
体調を整えながらエリザベス女王の国葬に臨まれた雅子さま。英国訪問を決断された陰にはもうひとつ、25年前の“悲痛”もあったという。
「雅子さまは外務省職員時代の’88年から’90年に英国へ研修留学されており、当時、ダイアナ元妃は王族として国際親善のために活躍していました。渡英の前年からお妃候補として注目されていた雅子さまにとって、ダイアナ元妃の存在はとても大きかったお聞きしております。ダイアナ元妃がひとりで非公式に訪日した’95年2月、両陛下は御所の応接室で通訳を交えずに3人だけで30分ほどご歓談されました。この時、雅子さまとダイアナ元妃は『次はイギリスで会いましょう』と約束されたといいます」(宮内庁関係者)
しかし、その約束が果たされることはなかった。ダイアナ元妃は’97年8月、36歳の若さで交通事故により非業の死を遂げたのだった。
「英国政府からはダイアナ元妃の葬儀に『皇太子と妃殿下にお越しいただけないか』との打診がありました。しかし、国葬ではなかったこともあり、日本政府はその申し出を辞退しました。両陛下が参列を望まれても、政府の許可が下りなければ出席は不可能だったのです。そうした経緯があったからこそ、今回はなんとしても参列したかったのではないでしょうか」(前出・宮内庁関係者)
短い日程のなかでも参列された両陛下。その深い哀悼の意は、英王室にもしっかりと届いたことだろう。