NFLの優勝決定戦、第54回スーパーボウルが2月2日に開催される。今年はサンフランシスコ・49ers対カンザスシティ・チーフスの対戦。米国最大のスポーツイベントであるスーパーボウルは、毎年テレビ中継が年間最高視聴率を記録する。試合の行方は言うまでもなく、ハーフタイムショーや放映されるCMの注目度も極めて高い。
ペプシやフェイスブック、マイクロソフトなど、大企業が名を連ねる今年のCMラインアップに、商品の販売促進ではなく、「感謝の念」を伝えることが目的だという1本が含まれている。WMTVが伝えている。
出稿主はデヴィッド・マクニールさん。ホームケア製品やペットケア製品を製造するウェザーテック社の創業者だ。昨年7月、飼っているゴールデン・レトリバーのスカウト(7)の心臓に悪性腫瘍が見つかり、余命1カ月と宣告された。
「あの子はこの小さな部屋の隅で、私にしっぽを振っていた。安楽死はさせたくない。でもどうしようもない、そんな風に思っていました」とマクニールさんはWMTVで当時の心境を振り返る。
できることは全てしようと、マクニールさんはスカウトをウィスコンシン大学マディソン校の獣医学部へ連れて行った。生存率はわずか1%と言われたが、獣医たちは最新の技術を惜しみなく投じ、化学療法と放射線治療で2カ月後には腫瘍は元の大きさの90%に縮小。治療を続け、今ではほぼ寛解にまで漕ぎ着けたという。
「スカウトの病気は私たちを打ちのめしました。今年のスーパーボウルでは、今もスカウトがお世話になっているウィスコンシン大学マディソン校獣医学部の認知向上だけではなく、そこで行われている素晴らしい研究と革新的な治療への財政支援を行いたいと考えたんです。スカウトのストーリーとこの素晴らしいブレイクスルーを紹介するために、可能な限り最大のステージを使いたかった。これは犬やペットを助けるためだけのものではなりません。この研究はきっと人間の治療にも役立つはず。あらゆる種の生物の命を救う可能性があるんです」とマクニールさんは語った。
2月2日、600万ドル(約6億5千万円)を投じて獲得した30秒の枠で、「ラッキー・ドッグ」と題されたスカウトの物語が放送されるという。また、ウェザーテック社のオフィシャルサイトには、ウィスコンシン大学マディソン校獣医学部への寄付を受け付ける窓口も設置されている。