ロングセラーの「いろはかるた」は3種類
お正月の伝統的な遊びの定番と言えば、「かるた取り」。
近年では、動物やマンガ・アニメのキャラクターが描かれたものや、子供が楽しみながら様々な知識を身に付けることのできる「知育かるた」など、かるたの種類も多種多様になってきています。
そんな中、「百人一首」と並ぶ日本のかるたの不動のロングセラーとなっているのが、「いろはかるた」です。「いろはたとえかるた」を略して「いろはかるた」と呼ばれるこのかるたは、「いろは歌」で知られる平仮名47文字に「京」の字をプラスした、合計48文字を札の頭の文字として、それにことわざを当てはめたものです。
「読み札」にはことわざが書かれ、それをコミカルな絵で表現した「絵札」がセットになっています。
代表的なものは3種類あり、「犬棒かるた」の名でも知られる「江戸いろは」の他に「京都」「大阪」のものがあり、それぞれ、採用されていることわざの内容が異なっています。またこれらの他にも、各地域ごとにその地域の特色を採り入れた「いろはかるた」が存在します。
時代と共に変化も
そんないろはかるたですが、時代の流れとともに、一部のことわざが差し替えられるなどの変化が起きています。
筆者所蔵の「江戸いろは」の場合、「月夜に釜を抜く」「惣領の甚六」「屁をひって尻つぼめ」などのことわざが採用されていますが、これらは「表現が難解、もしくは死語となっている」または「下品な表現が含まれる」などの理由で、「月とすっぽん」「損して得取れ」「下手の長談義」などに差し替えられています。
また「良薬は口に苦し」は、元々は「れうやく」という慣用仮名遣いの表記に基づき「れ」の札とされていましたが、後年に現代仮名遣いに基づいて「りょうやく」と読まれることとなり、「り」の札とされることになりました。そのため、元々「り」の札だった「律義者の子だくさん」があぶれてしまった、という事件が起きました。
このような変更については賛否両論があるとのことですが、「もののあはれ」「風流」の象徴と言われる和歌も、そのイメージが出来上がったのは『古今和歌集』辺りからで、例えば『万葉集』にはそれこそ「屁」どころではない、かなり下品な言葉や表現を使った歌も堂々と採用され、現代までそのまま伝わってきています。
伝統は「文化」として、できるだけ末永く生き続けさせていって欲しいものです。