大相撲の見どころの1つ「懸賞金」
大相撲の取組みが始まる前に、呼出さんが企業や商品の名前の入った旗を持って土俵上を回るのを目にしたことがありませんか?
この時の旗は、幕内の取組に対して懸賞金(賞金)をかけているスポンサー企業による「懸賞旗」です。
現在はひとつの取組につき60本(+東京場所では森永賞1本)までの懸賞金が認められているため、横綱・大関や人気力士の取り組みの前には、土俵の上を懸賞金がぐるぐると回る光景が見られます。もはや、大相撲の本場所の見どころの1つですね。
しかし、この懸賞金については「勝った方の力士がたくさんのお金をもらえる」という認識はあっても、あまり詳しいことは知らないという方が多いのではないでしょうか?
懸賞金制度の始まり
現在の懸賞金の始まりは、江戸時代にさかのぼります。当時の相撲の観客には「投げ祝儀」という習慣がありました。
これは素晴らしい取組への感動を、自分の着物を土俵に投げることで表したもので、その着物が後で力士本人や付け人によって持ち主に返された時に、持ち主は着物と引き換えに何らかの報償を渡していました。
「投げ祝儀」は1909年に旧両国国技館が建造されてから禁止行為となりましたが、現在も見られる「大一番」があった時に会場のお客さんが座布団を投げる光景は、その名残りなのですよ!
現在行われているような懸賞金制度が定められたのは、1960(昭和35)年9月場所から。それ以前には、米や味噌などの食料品が懸賞として懸けられたこともありました。
懸賞金は1本いくら?力士はいくらもらえるの?
懸賞金は、1本あたり6万2000円と決められています。しかし、力士が実際に土俵上で行司から受け取る袋の中に入っているのは、そのうち力士の取り分である3万円だけです。
では残りの3万2000円はどうなっているのかというと、その内訳は以下のようになります。
・事務経費5300円(取組表掲載および場内アナウンスの手数料)
・納税充当金2万6700円
「納税充当金」という聞き慣れない費目は、年末調整で追加徴収が行なわれる場合のための「協会預かり金」です。
このお金は「勝ち力士獲得金額」に含まれるため、力士が引退するときには追加徴収で引かれて余った分が本人に返され、さらに本人の希望があればいつでも引き出すことができる仕組みとなっています。
十両の力士が懸賞金をもらえることもある!?
懸賞金がかけられるのは、幕内以上の取組だけです。でも実は、十両の力士も懸賞金をもらえることがあります。
本場所の終盤に入ると、十両の上位の力士と幕内の下位の力士の取組が組まれることがあります。この取組に懸賞金がかけられていて十両力士が勝った場合は、十両でも懸賞金をもらうことができるのです。