猫は緊張や不安、恐怖などストレスを感じると、気持ちを落ちつかせたり、気を紛らわせたりするために「転位行動」や「転嫁行動」、「真空行動」という「葛藤行動」を起こすことがあります。今回は、この3つの「葛藤行動」について、詳しく解説します。
(※写真と内容は関係ございません)
「転位行動」とは
引用元:ねこのきもち投稿写真ギャラリー
「転位行動」とは、緊張や恐怖、不安などのストレスを感じたときに気持ちを静めるため、何の関係もない行動をとることです。たとえば、苦手な猫に遭遇したときに「攻撃するか?」「逃げるか?」といった葛藤状況に陥った際、まったく別の行動をして気を紛らわそうとする行動などが「転位行動」の一つといえます。
こんな行動が当てはまります
・ちょっとビックリしたあとに、自分の体をなめる
・おもちゃを上手く捕まえられなかったときに、思わず爪を研ぐ
・高いところから足を滑らせたときに、焦ったように顔を洗う
人の場合、「失恋したあとのやけ食い」や「ミスしたときに頭をかく」などがこれに当てはまるでしょう。猫の「転移行動」は、“気分転換”のようなものなので、あまり大きな心配はないといわれています。
「転嫁行動」とは
引用元:ねこのきもち投稿写真ギャラリー
「転嫁行動」とは、緊張や恐怖などのストレス感情が入りまじった葛藤状態になったとき、まったく関係のない相手を対象に行動することです。猫の「転嫁行動」の多くは、飼い主さんや同居猫に対する攻撃で、いわゆる「八つ当たり」のようなものです。
こんな行動が当てはまります
・お気に入りの居場所を取られて、飼い主さんに噛みつく
・飼い主さんに赤ちゃんが生まれて、同居猫に対して攻撃的になった
・外から聞こえる野良猫の声に興奮して、同居猫にパンチ
人の場合、「テストで悪い点数を取って兄弟に当たる」「ケンカに負けて自分より弱い相手にケンカを売る」などが当てはまるでしょう。猫の「転嫁行動」は、ストレスが続く限り攻撃も続くので、解消させる方法を考える必要があります。
「真空行動」とは
引用元:ねこのきもち投稿写真ギャラリー
「葛藤行動」には、「真空行動」というものもあります。これは上記2つの行動と違い、何もきっかけとなる刺激がないのに起きるのが特徴です。たとえば、夜中に突然走り回る“真夜中の大運動会”が代表的な行動といえるでしょう。
これは、室内で生活してエネルギーをため込んでしまい「発散させたい!」という葛藤状態に陥ることで起きるといわれています。
このような「葛藤行動」の原因となるストレスは、放置するとさまざまな問題行動や体調不良の原因となる場合もあるため注意が必要です。早めに愛猫のストレスの元を取り除くことが大切ですが、対策がなかなか難しい場合は、かかりつけの獣医師など専門家に相談してみるのもおすすめです。
参考/「ねこのきもち」2015年11月号『猫が抱える心の葛藤…そのときの“脳内会議”をのぞいてみました』(監修:獣医学博士 麻布大学獣医学部 動物応用科学科介在動物研究室講師 大谷伸代先生)
文/HONTAKA
※写真はスマホアプリ「まいにちのいぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。