KUZUHA MALLもT–SITEもなかった平成2年(1990)。
枚方市駅周辺の再開発で開業するも、時代の波に呑まれ倒産し「もう終わった」と皆が思ったビオルネ。
新たな運営会社による“脱商業施設”が始まって約10年。
ものすごいスピードで『事業の多角化』を進め、見事に逆襲を果たしたビオルネの知られざる裏側に迫る。
第一回
ビオルネヒストリー〜前編〜
第二回
ビオルネヒストリー〜後編〜
第三回
コロナ禍でも140%成長する人気店「KURAWANKA」〜前編〜
第四回
コロナ禍でも140%成長する人気店「KURAWANKA」〜後編〜
第五回
会員数250人超え!関西トップクラスのコワーキングスペース「ビィーゴ」
第六回
なんでドローン!?ビオルネの次なる一手
ビオルネが見せた“逆襲”を語る上で欠かせない存在が、直営の雑貨店「KURAWANKA」だ。
岡部は、「KURAWANKA」をビオルネの〝生命線〟と今も位置付けている。それほどに強い情熱をかけている店なのだ。
オープンから約8年。
テナントではなく、“直営”のこだわりが詰まった店は、おしゃれな生活雑貨や大切な人へのギフトなどを買い求めるための人気店へと成長した。
今回は「KURAWANKA」の人気の秘密や、店づくりに込められた思いに迫る。
二本柱は、「こだわり雑貨」と「ギフト」
枚方の人にとっては、言わずもがなだろうが、店の名前となっている「くらわんか」は、江戸時代、東海道の宿場町として賑わった枚方宿にまつわる言葉だ。
「餅くらわんか、酒くらわんか」と、淀川を行き来する客に呼びかけて商売していたという。
岡部は、ビオルネの再生をかけた店の名を、枚方らしい「くらわんか」から名付け、枚方を代表するような店を目指したのだ。
店の立ち上げから携わった営業本部セールス事業部長の篠原里美さんと、現在の店長 森本睦美さんに話を聞いた。(以下、敬称略)
篠原は高校生の頃、ビオルネに来ていたという生粋の枚方人だ。小売の経験はなかったが、篠原自身買い物が大好きで、特に丁寧に作られたものが好みだという。
KURAWANKAの店づくりは、「こだわりの雑貨」と「ギフト」の二本柱で始まった。直営とした経緯を教えてくれた。
篠原
「なかなか求めるようなテナントに入ってもらえなくて、『だったら自分たちでやっちゃえ!』ということで直営にしました。
私自身がもともと丁寧につくられたものが好きで、これまで都心部に行かないと買えなかったようなものを、しっかりと自分たちで選んで取り揃えたお店にしようと。
あとは、ギフトになるようなものを軸に、店作りをしてきました」
オープン当初からずっと売れ続けている商品がある。
例えば「ザ・ランドレス」というNY発の洗剤は、リピーターが多い人気商品だ。
人工の香料を一切使わず、エッセンシャルオイルの調合で作られているのが特徴で、香りにこだわるおしゃれ好きに選ばれている。
ギフト向けの「バスボム」もロングセラー。
以前の枚方ではなかなか手に入らなかった商品で、友人などへのちょっとしたギフトにおしゃれなものを選びたいというニーズを捉えているという。
枚方になかった「ライフスタイル提案型」のショップ
そして、大切にしてきたコンセプトが「ライフスタイル提案型」のショップにすること。
ただ、商品を売るだけではなく、その人のライフスタイルまで考えた商品選びをしている。
その商品を使う人の暮らしをより快適にしたり、豊かにしたりすることを大切にしているのだ。
篠原
「今の時代、SDGsが掲げられていますが、例えばそういうのを大切にしたライフスタイルを望んでいても、全部オーガニックというと価格も上がるし、現実的に難しい。
ただ自分たちが提案できる範囲で、提供していきたい。自分が疑問に思うものはあまり扱いたくないなって思っています。
そして、人にあげて喜んでもらえるとかそういう付加価値みたいなところを私たちは大切に考えています。
これはきっと喜んでもらえるだろうからお店に置きたいとか、プレゼントに適してると思うから置きたいとか・・・。
そういう意思を持って商品選びやお店づくりをしています」
苦戦した1年目
これまでの枚方にはなかった新しいスタイルの店。
実は、1年目はかなり苦戦したと明かしてくれた。
篠原
「1年目はめちゃくちゃしんどかったです。枚方での商売は1年目はどこもしんどいって聞いてましたけど…。
やはり最初は何の店かわからないから、枚方の人は入らないらしくて。でも、耐える体力があると結構伸びると聞いていました。
1年目は本当に苦しかったんですけど、耐えて、耐えて。
で、2年目からは、おかげさまですごく伸びるようになって、たくさんのお客様に来てもらえるようになりました。
そこからは、ほぼ右肩上がりに成長させてもらっています」
2年目以降、売り上げが前年比150%の成長を見せる。
売り上げを牽引したのは、爆発的なヒット商品がいくつもあったからだと分析する。
例えば、珪藻土のバスマット、ハンディファン、スマホの充電器につけるケーブルバイトなどだ。
爆発的ヒットで成長路線にのったKURAWANKA。
次回は更に伸び続ける秘訣と溢れる情熱に迫る。
枚方ビオルネ
■営業時間
地下食品売場:午前9時~午後11時
1~5階:午前10時~午後8時
■住所:大阪府枚方市岡本町7-1
■駐車場:あり
※店舗情報、記事内に掲載している商品、価格等は取材時点のものです。
(制作協力:谷井亜紀)