KUZUHA MALLもT–SITEもなかった平成2年(1990)。
枚方市駅周辺の再開発で開業するも、時代の波に呑まれ倒産し「もう終わった」と皆が思ったビオルネ。
新たな運営会社による“脱商業施設”が始まって約10年。
ものすごいスピードで『事業の多角化』を進め、見事に逆襲を果たしたビオルネの知られざる裏側に迫る。
第一回
ビオルネヒストリー〜前編〜
第二回
ビオルネヒストリー〜後編〜
第三回
コロナ禍でも140%成長する人気店「KURAWANKA」〜前編〜
第四回
コロナ禍でも140%成長する人気店「KURAWANKA」〜後編〜
第五回
会員数250人超え!関西トップクラスのコワーキングスペース「ビィーゴ」
第六回
なんでドローン!?ビオルネの次なる一手
ビオルネ直営の雑貨店「KURAWANKA」は『こだわり雑貨』と『ギフト』の人気店。
開店1年目は苦戦するも2年目以降の売り上げが前年比150%に成長し、そこからほぼ右肩上がりを続けているという。
前回に引き続き、店の立ち上げから携わった営業本部セールス事業部長の篠原里美さんと、現在の店長 森本睦美さんに話を聞いた。(以下、敬称略)
秘訣は、商品にかける情熱と勝負のかけ方
爆発的ヒットで、成長路線にのったKURAWANKA。
伸び続けるための秘訣は、「商品選びにかける情熱」と「勝負のかけ方」だと語ってくれた。
まず、何より、篠原や社長の岡部が、モノが大好きだという情熱にあふれているのだ。
篠原
「社長の岡部は小売畑で、やっぱりめちゃくちゃモノが好きなんです。
こんなに売り場のことをとやかく言う社長っているんかなっていうくらい(笑)めちゃくちゃお店が好きで、モノが好き。
私も好きで、それはずっと大事にしていますね。
私自身がこれ絶対に良いからいけるなって思うのもあるし、岡部の助言があって私的には『そうかな〜?』と思っても、結局それがめちゃくちゃ売れる場合もあります。
他のスタッフの反応が良くて、ロングセラーになったものもあって、いろんなヒントがあるので、いろんな情報を取るようにしています」
そして、もう一つ、大事なのが「勝負のかけ方」だという。
「小売のスペシャリスト」岡部の教えで、売れ筋商品に勝負をかけ、絶対に在庫を切らさないことが爆発的な売り上げを作るための鉄則だそうだ。
篠原
「一年目は全然わからなくて、売れ筋商品の在庫を切らしてしまって、岡部にめちゃくちゃ怒られました。
それ以来、『これ絶対行く!』って決めたものは、ちょっとビビっても勝負をかけます。
お店づくりをしていく上で、勝負するっていうのも大事ですね。外す時もあるんですけど、自分で『これ!』って決めて展開していく。
自分が自信を持っておすすめできるっていうものじゃないと、なかなかバン!ていう売り上げは作れない。それも面白いところの一つだと思います」
コロナ禍でも140%成長
実は、新型コロナによる「おうち需要」の高まりも、KURAWANKAにとって追い風となった。
売れたのは、やはりマスク。売り場面積を拡大し、種類も豊富に在庫も十分に揃えて対応してきた。
他にも、おうち時間を楽しむためのホットプレートなどの家電も売れた。
例年、真夏の8月は売り上げが落ち着く時期だそうだが、2020年8月の売り上げは、前年比140%を記録したという。
ずっと大切にしてきた“接客”
コロナ禍でも成長を続けるKURAWANKA。
その理由は、流行やニーズを的確に捉えて店作りをしてきたことに加えて、“接客”を大切にしてきたホスピタリティにある、と篠原は話す。
篠原
「接客をするっていうことに、すごく重きを置いています。
都心部だとたくさんのお客様に来ていただけるんで、そんなにコミュニケーションを図らなくてもお店が成り立っていくのかもしれないです。
でも枚方のまちで、しかもビオルネでやっていくってことは、同じお客様に来ていただける回数が多いと思うんです。
なるべくお客様と会話をしてお顔を覚えて。
できれば前何を買っていただいてどんなお話をしたかっていうのをスタッフみんなが把握できるようにっていうのをすごく意識していて。
それが伸びていける理由の1つかなっていうふうに考えています」
接客のメリットは、自らが選び抜いた商品の良さを直接伝えることができることだと言う。
篠原
「例えばなんか迷ってそうだなとか、何かお探しかなというのは、なんとなくお客様の動きで分かるので、そういう場合はお声掛けさせてもらっています。
話さないと伝わらない商品って、結構いっぱいあるんですよ。
POPだけでは伝わらない商品の良さがあるので、それは直接お客様にお伝えしたいなって思っています。
そして、なんでこの商品を取り扱うのか、ここの会社ってこういうこだわりがあるからこの商品を作っているとか。
見ただけでは分からないところまで伝えるのが、私たちの仕事かなって思っています。
モノだけ置いてセルフでっていうのは、私としてはあまりやりたくなくて。
その辺りは他のスタッフも接客がしたくて入ってきてくれているので、すごく共有できていますね」
現に入社3年目で店長を務める森本も、接客にやりがいを感じていると言う。
森本
「以前はチェーン店で働いていて、まともな接客をしてこなかったんです。忙しいお店だったので、接客している時間がないという感じで・・・。
KURAWANKAで、ゆっくりと接客ができる喜びを知れたのは、すごく良い経験をさせてもらっていると思います」
現在スタッフが30人ほどいるそうだが、「店員の態度が悪い」などとお客様からクレームが入ったことは一度もないという。
課題は、自社サイト
すっかり“ビオルネの顔”として定着したKURAWANKAだが、いま一番力を入れているのは、2020年5月に立ち上げた自社サイトだ。
このサイトでは商品が購入できるだけではない。
「KURAWANKAお役立ちコラム」でスタッフおすすめの季節ギフトや、人気の家電の使い方やレシピを紹介するなど、店での接客と通ずるような工夫を凝らしている。
篠原
「今の時代、モノを売る仕事をしているのであれば、ECサイトは不可欠だと思うので力を入れています。
やはり実店舗とは違うので苦戦しながらですが、伝えたいことを自由に伝えられる自社サイトを立ち上げました。
競合が多い中で、どうやって自社サイトまでたどり着いてもらうかはとても難しいですが、できるところからやっていこうという感じです」
そして篠原たちが2021年夏、ビオルネ1階にオープンさせた1階の「K-POP TOWN」も好調だ。
韓国の食品やコスメ、アイドルグッズなどを揃えた店で、10代20代の若者たちを呼び込むことに成功した。
オープン前からインスタグラムを立ち上げ、店の様子を発信したことも功を奏したそうだ。
篠原
「ビオルネ自体がわりと年齢層高めなので、若い方に来ていただけるのは、館全体としてもすごく嬉しいことです。
ビオルネは外観がボロいんで、ビオルネこーへんって思われている方もいっぱいいると思うんですけど、中では結構頑張ってて。
会社としては手前味噌なんですけど、ほんとに常にいろんなことにチャレンジしてて結構新しいこともやってます。
なので外見だけじゃなくてその中身に興味を持ってもらえるとうれしいなぁと。
新入社員がメインで行っている新プロジェクト「ちゃぶね」も始動し、KURAWANKAをはじめ他直営店やビオルネの情報発信にも力を入れていますし、
たぶん、これからほんまにもっともっとおもしろいことになっていくと思っています。
やり方はこだわらずにどんどん進化させていきたいです」
「KURAWANKA」はその名の通り、枚方を代表するお店へと進化し続けている。
次回は5階にある、コワーキングスペース「ビィーゴ」に迫る。
会員数250人超える関西トップクラスへの成長の秘訣とは。
枚方ビオルネ
■営業時間
地下食品売場:午前9時~午後11時
1~5階:午前10時~午後8時
■住所:大阪府枚方市岡本町7-1
■駐車場:あり
※店舗情報、記事内に掲載している商品、価格等は取材時点のものです。