大好きなあの人と、気のおけないみんなや家族と、時には一人でグラスを傾ける。私たちの至福の瞬間を彩るドリンクは、暮らしに寄り添う存在でもあります。地域に根差し、新たなムーブメントを起こしているメーカーの取り組みをご紹介。
廃れていたぶどう畑を再生し、ワイン造りをスタート
“晴れの国”との異名を持つ岡山県。温暖な気候に恵まれ、フルーツの栽培も盛んだ。そんな豊かな地の北西部、新見市哲多町にドメーヌができたのは2016年のこと。 銘醸地であるフランスと同じ石灰岩土質の希少な土壌で晴天率も高く寒暖差もある。地元で生まれ育った高橋竜太さんは、美しいぶどう畑を取り戻すために一念発起。耕作放棄地を整備し、2009年にぶどうの栽培を開始し、2017年にファーストビンテージをリリースする。
コンクリート造で美術館のような佇まいのワイナリー。デザインを手がけたのは〈Wonderwall(R)〉片山正通さんである。
ぶどう畑を見渡せるカフェも併設。
カフェからは醸造所の様子も一望できる。
アートの展示を行うことも。
「ドメーヌ・テッタ」のシンボルであるパンダ。荒れ果てたぶどう畑から掘り起こされたものだ。
平林奈緒美さんがデザインしたエチケットは必見
カルスト台地を貫流し、カルシウムやマグネシウムなどを豊富に含む高梁川の上流に、8haの畑が広がる。看板のシャルドネをはじめ約35品種のぶどう2万本が栽培されている。 また、アートとの融合を大切にする「ドメーヌ・テッタ」の精神はパンダやネイル を描いたエチケットにも象徴されている。これらはアートディレクターの平林奈緒美さんが手がけた。遊び心溢れるイラストにも注目だ。
丹念に育まれたぶどうはおよそ4万500本のワインに変身。(2019年)5年目のシ ーズンを迎えたいま、スタッフは10数人から20人に増えた。
高橋さんの心を掴んだ食用ぶどう「安芸クイーン」。耕作放棄の地でもたくましく 実り、その美味しさに感動したそう。カベルネ・フランとの微発泡白ワインにも用 いられている。
「ドメーヌ・テッタ」を象徴するシャルドネ。石灰質の土地らしいミネラリーでピ ュアなぶどうを味わえる。¥3,850(税込)
熟したトロピカルフルーツやチャーミングなベリーの香り。優しい甘さと穏やかな酸味が特徴で余韻には甘い果実味が長く続く。樹齢の高い安芸クイーン、クイー ンニーナ、マスカット・ベリーAをアッサンブラージュ。¥2,200(税込)
あまりの美味しさに、牛が樽に突っ込んでしまったのはメルロ。押し花、スミレ、 リコリスといったボタニカルなアロマとともにクランベリーやレーズンの香りも広 がる。¥4,290(税込) 新見のブランド牛 千屋牛とのペアリングもぜひ。
ラインナップはこちら。ポルトガル人のクリエイター、ウェイステッド・リタさんの個性的な絵が光る。
Photo:Daichi Ano、Eiji Honda、Senichiro Nogami、Yoko Inoue、One Story、 domaine tetta Text&Edit:Mako Matsuoka