「いまは “会社員” の合間にツイートしている状態です。会社の人たちは、僕が『ガレソ』だということはまったく知らないでしょう。
でも、このあいだ新入社員のコたちが、僕の近くでランチしていたときに『アイドルの○○が……』って、明らかにガレソのツイートの話をしていて、脇汗が出るくらいヒヤヒヤしました」
あなたは「滝沢ガレソ」というアカウントを知っているだろうか。日々、ネット上で散見される “炎上騒ぎ” を1ツイートにまとめて紹介。ときには寄せられたタレコミも投下し、タイムライン(投稿一覧)をざわつかせるーー。
ネット界一のネタの豊富さを誇る彼のツイートは、日常的にTwitterを見ている人なら一度は目にしたことがあるはずだ。
本誌は何度も滝沢に取材を申し込み、初めて公にインタビューを取りつけることに成功した。約束の日に現われたのは、さわやかな雰囲気の30代男性だった。
「木下優樹菜さんが離婚される前、彼女のSNS投稿を縦読みすると『たかしあいしてる』になる、ということがあったんです。『たかし』が誰だかわからなかった当時、フォロワーさんがタレコミで『某スポーツ選手のことだ』と教えてくれたんですね。その〈たかし=某スポーツ選手〉説を投稿すると、ネット上で “解析” が始まって……。
この騒動がいちばん反響が大きかったです。1日100件くらい届くDM(ダイレクトメッセージ)は、ほぼすべてがいわゆるタレコミ。昔は数が少なかったのでなんとか返事をしていましたが、いまはタレコミのチェックだけで大忙しです」
人々の “他人の炎上見たさ” の心理をくすぐるツイートで現在、Twitterで40万人以上のフォロワーを抱えている滝沢。しかし、その正体を知る者は数少ない。この日は有給休暇を使って、本誌の取材に応じてくれたという。
「私生活は安定志向で、慶應大学を卒業後は日本の大企業に就職しました。現在も営業マンとして働いています。一度、大手週刊誌から『契約記者になりませんか?』と誘われたのですが、『正社員なら考えます』と断わってしまいました(笑)。
『ガレソ』を始めたのは、転勤で、友達がいない地方に行ったのがきっかけなんです。寂しさを紛らすために対戦型オンラインゲームにハマり、ゲーム実況を始めたのがいまに繋がっています。
アカウント名もゲーム内の『ガレン』というキャラから取って、『滝沢ガレン』ともじりました。でも、それだと “本家” と混じってエゴサーチがしにくかったので、『ガレソ』に変えたんです」
当初は平凡なゲーム実況者だった滝沢。いかにして、いまの活動に至ったのだろうか。
「仕事の都合で半年ほど実況者としての活動を休止しなければならなくなりました。休止中、視聴者から存在を忘れられないように、ゲーム内の揉め事や、ゲーム外のSNSにまで飛び火した喧嘩の様子をまとめて、ツイートするようになったんです。
そして、気づけば実況よりも “まとめ” のほうが人気になっていました(笑)。だんだんゲーム界隈を越えて、『ネット上の炎上をまとめてほしい』という要望が増えてきました」
30代といえば、「ネオむぎ茶事件」に『電車男』など「2ちゃんねる(現・5ちゃんねる)」の “光と闇” を目のあたりにし、「Twitter」「YouTube」という新時代メディアをいち早く感じてきた世代だ。滝沢も例外ではない。
「高校生くらいから『ニコニコ動画』とか『2ちゃん』のVIP板とかにハマって見ていました。ガレソの活動の根本は『みんなで盛り上がって一体感を得ること』です。
僕は2ちゃんで繰り広げられていた “祭り” が好きだったんですが、ガレソのツイートはひと言で言えば『今北産業』。『いま来た(今北)から3行(産業)で状況を教えてくれ』というネットスラングです。
だから、こんなことでお金をいただくのは……というのもあり、少し前までガレソの発信は無収入の趣味としてやってきました。でも、活動の反響が大きくなるにつれて周囲から『広告をつけなよ』と言われ、2021年1月ごろから広告収入を解禁してみました」
現在、プロフィール画面の固定ツイートへの広告掲載や、アフィリエイト、グッズ宣伝などで滝沢は収入を得ている。フォロワー数も2021年1月時の約10万人から30万人近く増加し、収入も増えたそうだ。
「正確な額は言えませんが、当初の収入はお小遣い程度でした。いまは『もっと頑張れば会社を辞められるかも』というレベルになりました。
なので、会社を辞められるくらい収益を安定させて、ツイートするコンテンツをさらに充実させるのがいまの目標です。独身ならもう辞めてるんですが、家庭があるので僕の一存では決められない部分もありますね」
そう話す滝沢の左手の薬指には、結婚指輪が光る。
「妻とは最初の転勤先で出会って結婚しました。ガレソのことは打ち明けていて『自分の人生なんだから、自分で責任を取れる範囲で好きにやれば』という感じで傍観してもらっています。
でも、2年前に一度アカウントを手放したことがあるんです。それはあまりにも僕がTwitterに夢中すぎて、妻から『家庭とツイート、どっちが大事なの?』と聞かれたとき、答えに一瞬詰まったからなんです。
それで “Twitter引退” を決め、アカウントを他人に譲渡しました。その後しばらくして、妻に『家庭を優先する』という誓いを立てて戻ってきちゃいましたが(笑)」
一応、家族の許しは得ているそうだが、気になるのはアカウント名の “本家” だ……。
「滝沢カレンさんからクレームは来てないですね……。これまで場当たり的にやってきまして、ここまでアカウントが大きくなりましたが、今後は持続可能な『家庭との両立』という “SDGs” を心がけつつ、活動を続けていきたいです!」
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