9月27日、NHKの稲葉延雄会長は定例記者会見をおこない、ジャニーズ事務所に所属するタレントの今後の番組起用について言及し、大晦日の『NHK紅白歌合戦』での同事務所からの出場についても「ゼロ」の可能性を示した。
稲葉会長は会見で、これまでのNHKとしての対応を「深く反省しております」と述べたうえで、今後の方針をこう語った。
「すでに契約が決まっているタレントはそのまま出演しますが、新規の起用に関しては、被害者への補償や再発防止への取り組みが着実におこなわれている、と確認されるまではおこなわないというスタンスです」
会見では、NHKのメディア総局長が、報道陣から「『紅白』の出場者、ゲスト、司会についてもジャニーズ事務所からの起用はゼロなのか」を問われ、「現時点ではそういうこと(稲葉会長が示した方針)だ」と明言した。
これについて、芸能記者はこう話す。
「現在、NHKでは大河ドラマ『どうする家康』が放送されており、主役の徳川家康を嵐の松本潤さんが務めています。この放送が続いていることからも、『すでに契約が決まっている』という表現を使ったのでしょう。松本さんは『紅白』白組の司会の“最有力”でしたが、これで、可能性はほとんどついえたと言っていいでしょう」
さらに、現在開催中の「ラグビーワールドカップ 2023 フランス」の日本代表戦中継や再放送番組でも、『どうする家康』で織田信長役を演じ、学生時代にラグビー部だった岡田准一が、チリ戦、イングランド戦と続けてゲスト出演している。
「ラグビーワールドカップの開幕は、9月7日にジャニーズ事務所が開いた会見の後だったために、岡田さんが出演したことで、視聴者からも批判の声が上がりました。こうした批判に対しても、NHKは今回の会見で『契約が決まっているから……』と、言い訳したかったような印象がありました」(同前)
NHKは、大河ドラマや朝の連続テレビ小説など、大規模なドラマ作品について、何年も前から制作を準備する傾向にある。
大河は2024年に『光る君へ』、2025年に『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』まで、放送が決まっている。朝の連続テレビ小説は、2023年10月からの『ブギウギ』に続いて『虎に翼』、『おむすび』と、放送予定が発表されている。
しかし、これら待機しているNHKの大型作品で発表されている出演者に、ジャニーズ事務所のタレントが1人もいないのだ。
「現在、予定されているNHKの連続ドラマ作品では、2023年10月から放送の『大奥』シーズン2に、元Hey!Say!JUMPの岡本圭人さんの出演が予定されているのが、ジャニーズ所属のタレントでは唯一ではないでしょうか。
じつは、『光る君へ』が、紫式部を主役として、まわりを固める藤原一族の男性が多く登場する作品にもかかわらず、ジャニーズ所属のタレントが誰もキャスティングされていないことで、以前から密かに話題になっていたんです。NHKも、性加害問題の拡大を考えて、予防線を張っていたのかもしれません。
このままいけば、ジャニーズ所属の主要タレントのNHK出演は、10月29日に決勝を迎える『ラグビーワールドカップ』にゲスト出演する岡田さん、12月17日まで放送予定の『どうする家康』主演の松本さんで、当分、見納めになるかもしれません」(同前)
ジャニーズ事務所にも、1976年の「フォーリーブス」出場を最後に、1980年に田原俊彦が出場するまで『紅白』出場者がゼロという苦難の時代が過去にあった。もう一度、それを味わうことになるのだろうか。
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