全国での1日あたりの感染者が2月3日に10万人を超えるなど、拡大がとまらないオミクロン株の猛威。芸能界も例外ではなく、レギュラー出演者に感染者や濃厚接触者が出てしまった生番組では、“代役ラッシュ”が起きている。
なかでも異例だったのが、芸人が多数出演する『ラヴィット!』(TBS系)だ。1月20日の放送では、レギュラー出演する5組中4組が代役という事態に。さらに2月1日には、MCを務める麒麟・川島明まで新型コロナウイルスに感染したことが発覚した。同日の放送では、川島の代役をアインシュタイン・河井ゆずるが務めるというカオスな状況になった。
番組制作側にとっては厳しい時期が続くが、一方では、代役を務めたことで評価が高まり、株を上げた芸能人たちがいる。河井もそのひとりだ。芸能評論家の三杉武氏が語る。
「河井さんは『アッパレやってまーす!』(MBSラジオ)の火曜日レギュラーでもあるんですけど、火曜日は、野性爆弾のくっきー!さん、アインシュタイン、声優の内田雄馬さん、AKB48の小栗有以さんというメンバーなんです。
番組を仕切るのは基本的に最年長のくっきー!さんですが、河井さんはいつも裏回し的な感じでうまく番組を進行しているので、以前から、場を回す能力は高い人なんだなと思っていました。今回の『ラヴィット!』では、その実力の片鱗を見せましたね。ルックスもいいし、料理が好きとか、女性ウケしそうな要素もある芸人です」(三杉氏、以下同)
1月19日に陽性であることが発表された春日俊彰と、その濃厚接触者に該当する可能性から休養した若林正恭に替わり、1月22日深夜の『オードリーのオールナイトニッポン(ANN)』(ニッポン放送)で代打を務めたアンガールズも、高い評価を受けた。
「特に、田中卓志さんの評判がいいですね。田中さんと若林さんは、事務所は違いますがほぼ同期。ふだんから仲がいいことから、代役となったようです。田中さんは全国区の冠番組こそないですけど、サブやゲストとして、いろいろな番組を盛り上げています。
そういう助っ人的な才能は以前から評価されていましたし、どんな場面でも対応できるバイプレーヤー的なスキルが、今回あらためて感じられたと言えます。その田中さんも、1月26日に感染を公表しましたけど…」
ほかにも、1月27日放送の『ラヴィット!』では、コロナ感染したニューヨーク・嶋佐和也の代わりをバイク川崎バイクが、1月30日放送の『ワイドナショー』(フジテレビ系)で、司会の松本人志の代役を物まねタレントのJPが務めたことが話題になった。
「『ラヴィット!』では、1月26日に嶋佐さんの相方である屋敷裕政さんが、さらば青春の光・森田哲矢さんの代役を務めています。屋敷さん、森田さん、バイク川崎バイクさんはブレイク前から仲がよく、急遽のピンチヒッターも頼みやすかったのでしょう。JPさんの起用には驚かされましたが、松本さん自身も彼のものまねを認めていたということでしょう。今回の出演で、全国に広く顔が知られましたね」
そして今、絶好調なのが女優の井上咲楽だ。1月23日放送の『アッコにおまかせ!』(TBS系)で、代打出演が増えたことを明かしていた井上。その勢いに乗って…というわけではないだろうが、2月1日には『新婚さんいらっしゃい!』(朝日放送制作・テレビ朝日系)の、山瀬まみの後任MCに就任することが発表された。
「井上さんは腰が低いし、愛想もいい。それにガッツもあります。年配層からすれば、まるで娘や孫娘みたいですし、同世代にもおもしろい、かわいいという感じで支持されています。どの世代にもフィットするところが、絶頂期のベッキーさんのようですね」
いつ誰がコロナに感染してもおかしくない今、代打出演は芸能界の序列に大きな影響を与える可能性があると三杉氏は言う。
「NHK大河ドラマ『麒麟がくる』で、沢尻エリカさんの代役に抜擢された川口春奈さんが大ブレイクしたように、昔から代役がきっかけでブレイクする人はけっこう多いんです。特にお笑い業界は上の人たちの層が厚く、実力があっても、なかなか日の目を見ない若手芸人も多いので、今の状況で代役出演を依頼される人にとっては、ある意味では“チャンス”となる可能性があります」
レギュラー陣がコロナに感染せず出演できるのがいちばんだが、代役の動向に注目が集まるのも、自然なことといえそうだ。
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