「僕は弟子として、志村さんの喜怒哀楽を見てきました。
「ふだんは物静かで、人見知りでシャイ。声は小さく、ボソボソとしゃべる。テレビのイメージとは少し違います」
「遅い時間に帰宅しても、映画を観てから寝ていました。それは、『どこにコントのヒントがあるかわからないし、映像の撮り方を応用できるかもしれない』という理由です。
「志村さんは彼女に『俺は寝室のドアに信号機をつけたい。青のときは一緒に寝る、赤のときは一人で寝たいという意思表示だ』と言って、困らせていました(笑)」
「何度も怒られた」というげそ太郎が、一度、大激怒されたことがあった。
「現場に、僕が寝坊して遅刻したことがありました。
『お前、調子に乗ってんじゃねーぞ! 遅刻をすると、まわりの人たちに迷惑をかけて、一日がマイナスから始まってしまう。俺がいちばん嫌いなことだ!』と。
「今、僕がお仕事をいただいているのは、すべて志村さんのおかげです。自分の実力以上に、運をいただきました。これからも、志村さんのネタをパクって披露していきたいと思っています」
■愛弟子に遺した「7つの言葉」
(1)「マンネリになるまでやれることがすごいんだ。悔しかったらマンネリ と言われるまでやってみろ」
「『全員集合』で『カラスの勝手でしょ』を歌わなかったとき、視聴者から『子供が寝ようとしない』などとクレームが殺到して、自分が飽きるのはダメだと気づいたそうです」(げそ太郎、以下同)
(2)「何をやるにしても、うまくなるためのいちばんのコツはものまねだ」
(3)「笑いは正解のない世界だから、俺から教えることは何もないぞ」
(4)「目の前にいる俺一人の気持ちがわからないで、テレビの向こう側にいる何十万の人たちの気持ちがわかるか?」
「『タバコが吸いたい』『コーヒーを飲みたい』など、志村さんが次に何をしたいのかを理解することが大事だったんです。この言葉をもらって、志村さんをより注視するようになりました」
(5)「俺は結婚したいし子供も欲しい。親子で『バカ殿様』をやるのが夢なんだ」
(6)「俺が寝ている間にもっと努力してるヤツがいるかもしれない。そう考えたら不安になるから、映画を観たほうが落ち着くんだよ」
(7)「『志村ってバカなんだぜ』って言っている子供がいたんだけど、そのときは『ああ、よかった』と思ったな」
かわきていげそたろう
本名・櫨木信一(はぜき しんいち)1971年、鹿児島県生まれ。1994年から志村けんさんの付き人を7年間務める。1997年から『志村けんのバカ殿様』(フジテレビ系)に“メガネをかけた家来”としてレギュラー出演。現在、レポーターとして鹿児島テレビ『かごニュー』『見っどナイト』などで活躍中
志村けんさんの運転手兼付き人を務めた乾き亭げそ太郎が、志村さんの笑いの哲学、素顔を明かした『我が師・志村けん』が発売中。
写真・長谷川新
(週刊FLASH 2021年3月9日号)