7月8日に発生した安倍晋三元首相銃撃事件。お隣中国では、事件からわずか数日で、逮捕された山上容疑者の “グッズ” が続々と販売されていた。
中国事情に詳しいライターのもがき三太郎氏が語る。
「事件当日の山上容疑者の写真をプリントしたTシャツが、日本円で約300円ほどで売られています。バージョンもさまざまで、左側に配置したゲームのキャラクターに『偽の刺客』と書かれ、右側に山上容疑者の写真をのせ『山上氏は真の刺客』と書かれたものもあります。
さらに、山上氏が着ていたものとそっくりのTシャツを販売しているECサイトもあります。
加えて、山上氏のコスプレをしてSNSに投稿する男性も出てきました。そのほか、わざわざお祝いの垂れ幕を作って『ミルクティー1杯買ったら、もう1杯無料キャンペーン』をやってしまう店、寿司屋なのに安倍元首相死亡お祝いセットを売り出してしまう店なども出ました」
ところが、7月18日ごろから、一斉に山上グッズが中国のネット上から削除され始めたという。
「このような商品を販売するのは、個人や小規模なネットショップだけ。販売サイトやアプリを提供するプラットフォーム側が、自粛した可能性はあります。しかし、やはり当局から指導が入った可能性がいちばん高いです。
事件直後は、タカ派の安倍氏を暗殺した “義士” という扱いで話題になりました。ですが、外交辞令に過ぎないとはいえ、習近平総書記は安倍元総理の日中友好に対する貢献を認め、お悔やみを表明しました。
今このタイミングで “山上義士” とか “天誅” なんていう話をするのは、総書記と真逆の意見をあえて世に広めている、政治的にまったく正しくない行為になるんです。
さらに中国人民のあいだでも、捜査の進捗が伝わるにつれ、今回の事件を『カルトに人生を狂わされた男の凶行』と捉えるようになってきました」(同)
とはいえ今回の一件で浮き彫りになったのは、日本と中国のあいだに横たわる深い溝だ。
「長らく中国で仕事をしていて、それなりに理解があるはずの現地日本人も、今回のこうした人民の反応には『失望した』という声が出ています。しかし、東日本大震災のときですら喜んでいた人たちがいたので、もう仕方がないものだと思います」(同)
もしも習近平総書記が亡くなったら、日本人はどんな反応をするのだろうか……。
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