「学生時代からタモリさんが大好きで、『タモリ倶楽部』の“空耳アワー”に投稿してTシャツをもらったことがあったんです」と語るのは、「埼玉・深谷」の回で案内人として登場した馬場裕子氏(元・渋沢栄一記念館学芸員)。ファンだけに、収録が始まる直前は心臓が口から飛び出るくらいドキドキだったという。
「カメラがまわっていないときに『ところでどの曲で、どんなネタだった?』とタモリさんに聞かれて、お話ししました。『Tシャツはレアだよ!』とほめてもらいました」
「番組では使われていませんでしたが、タモリさんはたけしさんのモノマネで『なんだバカヤロウ!』『コマネチ!』と披露してくれました。同じ現場に居合わせたのが幸せでした」(馬場氏)
「海城が日本のどこに造られたかという地図のフリップを頑張って作ったのですが、リハーサルの段階で『タモリさんがこれを見たら、なぜ高松城が海城になったかすぐに答えを言っちゃいそうだ』となって、フリップはお蔵入りになりました」
「富山」の回の案内人・安江健一氏(富山大学准教授)は、タモリの知識の深さをこう語る。
「呉羽山で地層の傾きを見ている場面で、こちらが解説しなくても、どんどん先に答えを言い当ててしまう。洞察力がすごい。こちらからのヒントが少なくても、気づかれるのに驚きました。かと思うと、『白エビは美味しいですか。どうやって食べるんですか』と質問されたり。『刺身が美味しいですよ』と答えたら、実際にお昼に召し上がったようです」
「それまでの移動の最中にタモリさんが富士山を見てしまうことのないように、スタッフの方は頭を悩ませていました。ですが収録当日は天候が悪く、諏訪湖から富士山は見えなかったんですよね」
「見ている我々も一緒になって歩いているようなライブ感は、タモリさんが台本もなくアドリブでやっているから生まれるものでしょう。それができるのも、タモリさんの膨大な知識とアドリブ力のおかげだと思います」