10人に1人が「私も虐待した」と回答…保育士121人調査の衝撃!吐いた食べ物を無理やり口に詰め込むも
「正直、園児を虐待する気持ちもわかります。私は暴力をふるったことこそないものの『いい加減にして!』と、怒鳴ってしまったことがあります。報道を見て、他人事じゃないなと感じました」
『ルポ保育崩壊』(岩波新書)などの著書を持つ、ジャーナリストの小林美希氏は、この結果に驚きを隠せない。
「10人に1人が虐待したことがあるということです。園児数にもよりますが、1つの園あたりで、保育従事者は10~20人が雇われています。平均して、園に1~2人は虐待した保育士がいるということですから、多い数字だと思います」
「私が勤めていた保育園では、 “しつけ” の名目で日常的に虐待がおこなわれていました。園児が片付け忘れたコップで頭を小突いたところを、保護者に目撃されて問題になったことが。また、言うことを聞かなかった子を担ぎ上げて投げつけ、顔から流血させた事件もありました。いずれも保護者から苦情がありましたが、園長が『熱が入りすぎて、思わず手が出てしまった』などと釈明し、大きな問題にならずじまいでした」
「給食を時間内に食べ終わらなければ部屋の外に出し、床に正座させ、食べ終わるまでそのまま放置するんです。園児がウトウトしだすと、ドアをドンドン叩いて起こし、鬼のお面を見せて『早く食べないとお前を食べるぞ!』と声を低くして脅していました。口に食べ物がいっぱいに詰まった状態で脅されるので、園児は泣きながら吐き出してしまう。すると、吐いたものを無理やり口に詰め込むんです。とても “しつけ” と呼べるものではありませんでした」
■「園児の脱臼に気づけず」困窮する保育の現場
「50人ほどの園児が外で遊ぶのを、一人で見ていなければならないときがありました。そんななか、一人の園児が肩を脱臼する事故が起こりました。私はすぐに気がつかず、あとで主任にひどく叱られました。でも、園長も主任も、基本的に現場には出ません。慢性的な人手不足のせいで、こうした事故や虐待が起こっても、気づけない状況にあるのです。さらに、1日12時間以上働いて、月の手取りは約13万円。行事前などは特に忙しくて、先生たちはみんなギスギスしています」
「大きな原因のひとつが、営利企業が認可保育園に参入できるようになったことによる人件費の削減です。保育園に入る運営費は人件費で8~9割を占めますが、事業者によってはそれを4~5割に抑え込むところがあります。年収が手取り200万~300万円と答えている保育士も、東京23区では、本当は1人あたり最大で560万円が、公費で出ている計算です。