1月31日、『サンデーモーニング』(TBS系)に野球評論家の里崎智也氏(41・元ロッテ)がリモート出演した。
番組では、2年めを迎えるロッテの佐々木朗希(19)が、2月1日から沖縄・石垣島で始まった春季キャンプに先乗りし、ブルペンで21球を投げたと報じるVTRが流れた。その映像に対して里崎氏は、こう指摘したのだ。
「彼は2020年、一軍でも二軍でも1試合も投げていない状況。そのなかでずっと一軍に帯同してトレーニングをしていたわけですけど、いまの自主トレの投球を見ていても調整が遅いな、というところがあります。
オフに休むという選手は、1年間頑張ってきた選手です。でも、彼はプレーせずに体力づくりをしてきた。オフも休まずに体力づくりをしてきた2021年は、勝負の年だと思うんです。
そのなかで、あの投球の『ユルさ』は気になります。ロッテの先輩としては、激励の、いまのままじゃダメだぞという『喝!』をあげたい」
この発言には、司会の関口宏(77)も「厳しいですね」と、驚きを隠せなかった。野球ファンからも「厳しすぎる意見」「後輩を思ってのこと」と、里崎氏の “苦言” には、賛否両論が集まった。その事態を受けて里崎氏は、自身のYouTubeチャンネル『里崎チャンネル』で、「プチ炎上ですわ」と語った。
なぜ里崎氏は、ここまで佐々木に厳しいのか。本人を直撃した。
「場を盛り上げるために厳しい言葉を選んだところはありますよ(笑)。でも、僕はあの映像を見て、野球評論家として当然のことを言ったと思っています。
皆さんは佐々木が『ブルペンで投げた』と騒ぎますが、捕手を立たせたままの投球でした。あれは、マウンドの傾斜を使った、ただのキャッチボールなんです。それを『ブルペン入り』と言いますか?
私が心配なのは、2021年シーズンに彼が本当に投げられるのか、ということです。誰もわからないですよね。何しろ、投げている姿を見たことがないので」
2020年は一度だけシート打撃で投げ、その際、ストレートは160kmを計測するなど、大きな期待を抱かせた。しかし、投球はこの一度だけ。その後は基礎トレーニングに終始している。
「登板できるかどうかを判断する基準のひとつは、ブルペンでの投球です。ローテーション入りした場合、たとえば先発なら120〜130球を1週間に1回投げなければいけない。中継ぎだったら10〜20球、もしくは30球投げるときもありますけども、それを週に最低でも3回は投げなければいけません。
この投球ペースを、シーズンを通じてまっとうしなければいけないわけです。それは1軍だろうと2軍だろうと同じです。では、佐々木はブルペンでそれぐらい投げられているのか。投げられていませんよね。だから、不安なのは間違いないんですよ」
そして、話題となった「ユルさ」という言葉の真意にも言及した。
「たとえば、チームとして『佐々木朗希は育成途中。3年後、5年後を目指して体力強化に励んでいる』というスタンスであれば、僕も『ユルい』なんてことは言いませんよ。でも、井口監督みずから『ほかの投手と競争してもらう。そして2021年シーズンはローテーション入りを期待している』と語っているわけです。
それにしては、現段階で調整が遅れていると思います。2020年は1年間、体力づくりをしてきて、『さあ勝負や』というタイミングだったからこそ、『ユルい』という厳しい言葉を選びました」
だが、里崎氏の厳しい言葉は、佐々木への期待の裏返しでもある。
「捕手を立たせて投げている映像だけ見ても、フォームに安定感があるし、いいなと思います。大器であることは間違いないんですよ。
ただ、彼の投球センスに肉体が追いついていないように思えます。彼は2020年まで、エンジンはフェラーリなのに、ボディがハリボテでした。今回のキャンプで追い込んで、肉体をどこまで高められるか、注目しています」
先輩の熱い期待に、佐々木は応えることができるのか。まずは、キャンプでの紅白戦登板に期待したい。
外部リンク