1月2日夜、福島県郡山市の市道で自動車同士が衝突、横転し、炎上した軽自動車に乗っていた4人が死亡する事故が起きた。
事故現場となった交差点に信号機はなく、近づいてくる車に気づかない「コリジョンコース現象」が原因ではないかという指摘がされている。
「見通しのいい交差点に、同じ程度の速度で走る車が近づくと、互いの車に気がつかない、あるいは止まっているように見えることがあります。この錯覚が『コリジョンコース現象』です」
そう説明するのは、自動車ジャーナリストの佐藤篤司氏。
「北海道東部や北関東など、開けた土地で起きることが多く『十勝型事故』『田園型事故』という呼び方もあります。同様に、車のルーフ(天板)を支えるピラー(柱)が死角となり、相手の車が見えないこともあります。ただ、今回の事故に関しては、単なる左右確認のミス、『相手の車が止まるだろう』という希望的観測による『だろう運転』が原因である可能性も大いにあると思います」
自動車事故の原因は「コリジョンコース現象」「だろう運転」以外にも、多数、存在する。佐藤氏が解説する。
「雨の日に多いのが『ハイドロプレーニング現象』。タイヤと路面の間に薄い水の膜ができて、滑ってしまう現象で、おもな原因はスピードの上げ過ぎや、タイヤの減りです。
雨天時や夜間には『蒸発現象』にも注意が必要です。対向車のライトと自車のライトが重なり、道を横切る歩行者や自転車などが突然、見えなくなる現象です。とくに雨の日は、ライトの光が乱反射し、起こりやすいとされています。
長い下り坂などで多いのが『べーパーロック現象』。フットブレーキを多用しすぎると、摩擦熱でフルード(ブレーキ液)に気泡が発生し、ブレーキが利かなくなることがあります。同じようなものに『フェード現象』があり、こちらはブレーキパッドが高熱になり、ブレーキの利きが悪くなる現象です。ギアチェンジにより抵抗力を上げる、エンジンブレーキを使うことで防ぐことができます。オートマチック車ではDレンジからLやSレンジに、あるいはBレンジを使えばいいでしょう。
高速道路で注意したいのが『スタンディングウェーブ現象』。タイヤの空気圧が下がったまま高速走行を続けると、タイヤがたわんで波打ち、高熱となり、最終的にバーストすることがあります。空気圧だけでなく、荷物の積みすぎも原因となります。
また、前の車に追従して、同じような速度で走行していると、車間距離が短くなる『追従静止視界』という現象もあります。どんな速度でも、前の車の位置から2秒後に自分の車がそこを通過するのが適正なので、しっかりと車間距離、車間時間を意識することが大事です。
トンネルやカーブで、無意識のうちにセンターラインに寄っていた、あるいは隣の車や対向車が寄ってきた、という経験がある人は多いはずです。これは圧迫感が原因の『視覚吸引作用』というもので、注意が必要です。
オートマ車には、ブレーキから足を離すとゆっくりと車が前進する『クリープ現象』があります。渋滞などで長い間、何度もブレーキを踏んでいると、力が次第に弱くなり、感覚がなくなって、いつの間にか前に進んでいることがあります。大事故になることはありませんが、トラブルの原因となることが意外と多いので、注意すべきでしょう」
注意一秒、怪我一生。つねに心がけて運転したい。
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