「ワグネルの反乱」予言した中村逸郎教授が断「9月、ロシア全土で火の手が上がる」第二のプリゴジンも
「プリゴジンがクレムリンに向けて進攻をおこなう――」
「プリゴジンは、ロシア軍による“ワグネル解体”の動きに抗議するため、ウクライナ国境に位置する南部軍管司令部を制圧し、モスクワまで200kmの地点まで迫りました。一触即発の事態になりましたが、ベラルーシのルカシェンコ大統領が仲裁に入ったことで、プリゴジンは矛を収めました」(軍事ジャーナリスト)
「下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる、ですよ(笑)。今回の事件で、プーチン破滅へのカウントダウンが始まりました」
「まずニコライ・パトルシェフ安全保障会議書記と、大統領府長官のアントン・ヴァイノの2人です。とくにパトルシェフは、ウクライナ侵攻を推進してきた超タカ派。反乱を武力制圧するか悩むプーチンに対し『いまは戦争中なのだから、貴重な戦力をつぶすべきではない』と、ワグネルを擁護しました。そして最大の黒幕は、今回の“和解”の立役者であるルカシェンコです。ルカシェンコはプリゴジンと20年以上前からの知り合いで、パトルシェフやヴァイノとも親密です。今回も、プリゴジンはプーチンからの電話を拒否したのに、ルカシェンコの電話には素直に応じました」
「ベラルーシは、ロシアの“連合国家”として併合するようにと長らく圧力を受けてきましたし、今回の無益な侵攻にも巻き込まれています。お互いを“盟友”だと思い込んでいるのはプーチンだけで、ルカシェンコの側には、ロシアに恨みが積もっているんです。プリゴジンの怒りを利用し、“事を起こさせた”可能性は十分ありますよ」(中村氏)
「ロシア政府はワグネルの兵士に対し、正規兵としてロシア軍と再契約しろと迫っていますが、これに従う兵士は少ないですよ。ワグネルには、“プリゴジンイズム”を叩き込まれた地方出身者が多い。そういう兵士たちがワグネル解体によって帰郷し、9月10日の統一地方選に合わせて、全土で“反プーチン”の反乱を起こすのです。今回の乱を起こしたワグネルの部隊を、現地の市民は取り囲んで握手し、写真を撮って歓迎していました。9月の蜂起でも民衆は支持するでしょう」(中村氏)
「ドンバス地方の元軍司令官で、右派ブロガーのイーゴリ・ギルキンです。彼は今回の反乱を予測していた人物で、『怒れる愛国者クラブ』という新しい組織を作り、大統領選の出馬も検討しています。これまで、反プーチンといえばリベラル派でしたが、右派勢力の中にも造反者が生まれつつあるということです。
「今回、ワグネルがモスクワまで簡単に近づくことができたことで、ロシア国内の防備の薄さが明らかになりました。5月に、ウクライナと連携しているロシア人義勇兵部隊が、ロシア西部のベルゴロド州に侵入しましたが、彼らがこうした手薄な場所を狙って、ロシアに再侵攻する可能性があります」