新型コロナ禍でなかなか郷里に帰れない現在、「帰省」は特別なイベントになった。だが、2019年8月に女優・川口春奈(26)がした「里帰り」は、まだ “オールド・ノーマル” の当時でも、大きな意味のあるものだった。
そして、この3カ月後に急遽、川口はNHK大河ドラマ『麒麟がくる』への出演が決まるのだが、当時の彼女は、それを知る由もない。だからこそ、近しい人に率直な思いを打ち明けていたのだろう――。
「当初、2020年1月放送開始の『麒麟がくる』では、帰蝶(濃姫)役に沢尻エリカ(34)の起用が発表されていました。沢尻にとっても、女優デビュー19年めに掴む大役で、周囲も女優としての評価が高まっていた彼女の帰蝶役を期待していたんです」(NHK関係者)
しかし、沢尻は2019年11月、麻薬取締法違反容疑で逮捕された。主要キャストの穴を埋めるため、川口に白羽の矢が立ったのだ。この起用が転機になったと、芸能ジャーナリストの佐々木博之氏は話す。
「撮影開始まで1カ月を切り、放送までも2カ月あまりの状況で受けた大河ドラマの代役だったにもかかわらず、“可憐な帰蝶” を見事に演じ、存在感を発揮していました。
NHKの傾向で、過去に大河でメイン級キャストの経験があると、NHKの連ドラ主演を経て、数年後に大河や朝ドラの主演となることが多いです。川口さんも、そんな女優になったといえるでしょう」
いくら自分のことでも、未来予測などできはしない。冒頭の里帰りのころは “身軽” な気持ちだったのだろう。じつは、川口は故郷に “カレ同伴” で帰っていたのだ。
「カレ」とは、2019年11月に本誌が “熱愛” を報じた、矢地祐介(30)のことである。矢地は「RIZIN」にも出場する総合格闘家。彼の試合会場に応援に来た、川口の姿も目撃されている。
「RIZINはギャラが悪くないので、年間2試合も出れば、それなりに収入はあると思います。それに、彼はかなり常識的な人間なんですよ。彼女とは、家計もきっちり分けてやっているそうです。気がかりは最近、連敗中ということだけで……」(格闘技ライター)
2人の交際は2018年末に始まり、コロナ禍前の当時、川口の愛犬を一緒に散歩させるなど、デートも楽しんでいた。
川口の故郷は、長崎県・五島列島の島のひとつだ。2007年、友達が応募した雑誌『ニコラ』のオーディションでグランプリを獲得。川口は芸能界デビューした。
女優として活躍する彼女は、“島出身のいちばんの有名人” と言っても過言ではない。ある島民は、「大河出演が決まったとき、島じゅう盛り上がったよ」と話す。2021年2月、本誌記者が訪れた川口の故郷は、彼女への応援一色だった。
「中学を卒業して上京したあとも、頻繁に帰ってきてくれて。フェリーで帰ってきたときにお母さんや親族が迎えに来ていて、春奈ちゃんが大きな声で『ただいまー!』って呼びかけているのも、何度も見たことがある。だから、テレビに出ている芸能人だけど、いまだに “島の人” って思っちゃうね」(フェリー乗り場の近隣島民)
気を許せる地元だからか、本誌の報道で矢地との関係が公になる前だったにもかかわらず、川口は島で、交際を隠すことなく過ごしていたという。川口家とも親しい島民が、こう教えてくれた。
「そのとき、島の飲食店に矢地君と一緒に来ていたんです。さすがに、宿泊先は春奈ちゃんの実家ではなくホテルでしたね。私も2人と会いましたが、矢地君は話した感じもよく、優しい人だと思いました。でも、優しすぎて格闘技には向かないかもね(笑)。
じつは当時、すでに春奈ちゃんから『カレと結婚したい』と打ち明けられていたんです。今でも、その気持ちは変わっていないそうです。やっぱり大河に出たことで、すぐにというわけには、いかないみたいなんですが……」
そう話すと当時、島内の飲食店で撮らせてもらったという、川口と矢地のツーショット写真(冒頭)を見せてくれた。顔の前にピースサインを作り、向けられたレンズをまっすぐ見つめる川口。そんな彼女に寄り添うように、笑顔を見せる矢地。どこまでも、幸せそうな2人が写っている――。
そう、川口にとって「特別な里帰り」とは、「結婚したいカレ」を故郷の家族や大切な友人たちにお披露目するための帰省だったのだ。川口の所属事務所に、結婚について尋ねると、「そのような話は聞いておりません」との回答だった。
デビュー前の川口は、島のほかの子供と同じく、のんびりと暮らす少女だった。
「しばしば『周囲に漁師が多く、当たり前のように釣りをしていた』と話しています。今でも、彼女の “島出身” という感覚は、変わっていないと思います」(テレビ誌ライター)
2010年4月に高校に進学するタイミングで上京した川口は、かつて雑誌のインタビューで故郷について話していた。
《地元の人たちはアットホームで、里帰りするとみんなで “お帰り!” って迎えてくれる。(中略)私、東京には染まりませんよ。五島の人間であることは、私の誇りですから!》(『オトナファミ』2012年4月号より)
大好きな島だからこそ、「結婚したい人に見せてあげたい」と思うのは、不思議ではない。2020年1月に開設した自身のYouTubeチャンネル『はーちゃんねる』でも、郷里の島を紹介する動画を、いくつも公開している。
同年10月の動画で川口が紹介した、地元の銘菓「五島名産かんころ餅」を製造する、「真鳥餅店」の代表・眞鳥浩次さん(35)が、その反響を教えてくれた。
「春奈ちゃんが動画で取り上げてくれたことで、店のウェブサイトはサーバーがダウンしましたが、売り上げは約15倍になりましたよ。春奈ちゃんは来店すると、よく『プレーン』を購入してくださいます。
母とも仲よくしてくれているんです。じつは、私自身は一度も会ったことはないんですが……(笑)。コロナになる前は、年に数回は島に帰ってきていて、『お元気ですか?』って来てくれていたそうで。突然だったので、ほかのスタッフたちは驚いていました」
川口の現在のCM契約は計15社。4月からはドラマ『着飾る恋には理由があって』(TBS系)での主演も決まっている。「人気も実力もある若手女優」として評価される、“新No.1女優” といってもよいだろう。しかし、島を離れてからの10年は、順風満帆な女優生活を続けてきたわけではない。
「大河ドラマ出演以前は、連続ドラマの主演も少なく、それ以外でも “目立つ役” に巡り合えていない印象でした」(前出・佐々木氏)
恋も順調で、大きな仕事も決まり……わずか2年ほどで、川口自身も大きく変わった。
「当時は正直言って、子供だなと思いましたよ。たしか、高校1〜2年生でしたから、そういった年齢特有といえる頑固さもあったと思います」
そう話すのは、2011年に川口が初の主演を果たした連続ドラマ『桜蘭高校ホスト部』(TBS系)で共演した、俳優の山本裕典(33)だ。
「頑固と言いましたが、いい意味で “芯の強さ” はありました。あのドラマは、20代前半の俳優の集まりのなかに、女のコが春奈だけという撮影現場だったんです。それでも、動じていなかったですよ」
現在、登録者数が120万人を超える川口のYouTubeチャンネルで、彼女が見せる飾り気のない姿は、「ギャップがあっていい」と話題だ。
山本も「春奈は “ただきれいな女優さん” と思われていたかもしれませんが、当時から現場で共演者にちょっかいをかける、お茶目でおふざけが好きなコでした」と話す。今の “女優・川口春奈” を、山本はどう見ているのか?
「よりきれいになりましたし、芝居も成長したと思います。うまくいかない時期を乗り越えたから、吹っ切れたんじゃないかな。昔の作品で批判が春奈に向かったのも、僕は『女優のせいじゃないのに』と思って見ていました。だから今の活躍は、“元・お兄ちゃん” 的な立場の自分も嬉しいです」
芸歴15年め、公私ともに順調な女優の “春” は、いま真っ盛りだ。
(週刊FLASH 2021年3月30日・4月6日合併号)
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