小峠「人生の半分以上一緒にいると思うと、気持ち悪い(笑)」
西村「最初に会ったのは免許合宿。当時の小峠は、オレンジ色のモヒカン頭で、ジーパンにサスペンダー……ゴリゴリのパンクファッションでした。『なんだコイツは!』と思って(笑)。
小峠「俺も、なぜか西村が印象に残っていたんですよ。結成は、運命的かな。ただ、当時から『何事も一緒に』みたいな距離感ではなかったですね」
西村「たしかにね。でも超若手時代には、小峠のバイクに乗せてもらって、大阪城公園で2人でキャッチボールした、とかはありましたけど」
小峠「なんだよ、その恥ずかしい思い出は(笑)」
西村「人生、変わりましたよね。当時は、賞レースで優勝することだけを考えていました」
小峠「それまでは、ライブすらまともになくて。もう “地下の地下” にいましたよ(笑)。だからこそ、せっかくいただいたチャンスを無駄にしないように気張ってきたというか。
西村「僕はあるけど」
小峠「どんな番組よ?」
西村「それは、特に考えてない」
小峠「何も考えてないやつが、冠番組なんてムリだろ(笑)」
西村「優勝して半年くらいは、コンビで番組に出てましたけど、だんだん小峠ばかりになって(笑)。いまでは視聴者として、『小峠おもしろいわ〜』って楽しんでいます」
小峠「西村もなんやかんやで番組呼ばれたり、『西村キャンプ場』(テレビ新広島)って、好きなキャンプの番組もやってる。ただ言っておきたいのが、『西村はキャンプ芸人』ていう評価が腑に落ちてないこと。キャンプ始めて何年?」
西村「5年」
小峠「『にわか』でしょ。10年ならまだしも、たかだか5年っすよ。キャンプ芸人を名乗るのは、いかがなものかと」
西村「キャンプ愛の強さには自信があるから、いいでしょうが。それよりこのあいだ、テレビで小峠が『コンビでの街ブラロケはNG』って言っていたの見たんだけど……」
小峠「ああ、NG。相性が悪い! まぁひどいもので、コイツはボケないし、俺がボケてもツッコまないし。ただハゲたおっさん2人が、街を徘徊しているだけになってしまう」
西村「一応ツッコんでるけど」
小峠「居酒屋で飲んでるレベル。プロレベルではない(笑)」
西村「ハードルが高い!」
西村「結果が出ないころ、解散の話が出たことはあるんです。それは、どちらからも。
小峠「それ、俺がどっかで言った話じゃねえか! でもそれがいちばん大きい。ライブでいつもスベっていたから。一方で、『芸人仲間では、俺たちをおもしろいと思っているやつもいる』とも少し感じていて。それも、続けられた理由かもしれない」
小峠「そういや、女のコにキャーキャー言われたくて芸人になったのに、今でもまったく言われてない」
西村「単独ライブも男ばかりだね。舞台に出ても、拍手すら起きないし。みんな『どうやって笑わせてくれるんだ?』って品定めする感じで(笑)」
小峠「ハゲ散らかしてるおっさんばかりですから、俺らの単独ライブの観客は」
西村「なんだよ、ハゲ散らかしてるって! でも、終演後のアンケートに、紙が破れそうな筆圧で『おもしろかった』と、ひと言書いてあるときは嬉しいですね」
小峠「おもしろければ、ちゃんと笑ってくれる」
西村「僕はいまだに『小峠には、大女優を捕まえて結婚してほしい』と思ってるんです」
小峠「なんで、お前の夢をかなえなきゃいけないんだよ。一般人でいいし、そもそも結婚はしないね」
西村「ずっとこう言っているけど、いざ結婚するとき、どんな顔で報告しに来るのかが、今から楽しみなんです」
小峠「報告なんて、するわけないだろ。テレビを見て知れよ」
西村「それは言ってくれよ!」
小峠「西村は報告したっけ?」
西村「したもなにも、婚姻届の証人は、小峠と(事務所の先輩の)ハリウッドザコシショウだから。で、お前、名前書く前に婚姻届に屁をしただろ」
小峠「ハハハ(笑)。ちょっとハンコ代わりにな」
西村「お前のそういうとこ、やっぱりクレージーだと思う」
小峠「ヘンなのは、お前だろ」
西村「いや、小峠はキッチンの食器棚にスニーカーを置いていますから。皿を入れるところに、スニーカーがあって。あんなの、普通の人はしないよ」
小峠「ステイホーム期間までは自炊なんてしなかったし、せっかく空いているスペースだから、有効利用しようと思って。いまは自炊を始めたので、スニーカーの隣に調味料を置いているけどな(笑)」
西村「そういうヘンなところを、もっと出していってほしい。僕の上をいくと思うから」
小峠「西村より上はヤバいだろ(笑)。お前の変人度合いが、ギリギリのラインなの」
西村「いやいや! でも、もしかしたらコンビ揃って変人同士なのが、長くやれている理由かもしれないです」
「キングオブコント」優勝の時点で、小峠36歳・西村35歳と、かなりの遅咲きだった。そこから8年近くがたった今、コンビの将来は?
小峠「単独ライブを毎年やってきたんですが、西村の体力が明らかに落ちていて。いまは舞台袖に、酸素吸入器を常備しています。
西村「喉も老けるんだね」
小峠「まあ、そうやってごまかしながらも、変わらずやっていくと思います。そして、コンビ揃っての街ブラロケは、永遠にNGで」
西村「僕は意見がないんで、小峠が言うなら間違いないですね!」
ばいきんぐ
ことうげえいじ(1976年6月6日生まれ)
にしむらみずき(1977年4月23日生まれ)
大阪NSC時代の1996年5月にコンビ結成。その後、事務所を転々とし、3年ほどフリーも経験。2012年に「キングオブコント」優勝でブレイク
(週刊FLASH 2020年9月1日号)