"九頭身美女"田中道子 がむしゃらに駆け抜けてきた6年間…『極主夫道』撮影は「ずっと幸せの中」
「自分でも、こんな性格ってかわいくないよなぁとは思うんですけど……弱音は吐きたくないし、弱い自分を人に見られるのも……嫌なんですよね」
「おばあちゃんはちょっと変わった人なんです。おしゃれで、華やかなものが好きで、一人で世界中を旅してまわるような人だったんですよね」
「父は猛反対。母は気持ちはわかるけど、賛成はできないということで中立。おばあちゃんだけが、好き勝手やらないと後悔するよと言ってくれて。今は反対している家族も、最後はみんなみっちゃんの味方だから、自分が行きたいと思う道を行きなさいと」
「弱音を吐いても、愚痴を言っても……今度の監督さんはすごく怖い人で、どうしたらいいかわからないとか(笑)。そういう話をしているときでも、いつもニコニコしながら聞いてくれるんです」
「そんなおばあちゃんの笑顔を見てると、いつの間にか私の中にあった怒りや弱さという感情が消えて、頑張ろうという気持ちになれたんです」
「亡くなった日は、静岡でダイビングのロケがあって。この仕事が終わったらおばあちゃんのところに行こうと思っていたんですけど……間に合いませんでした。でも……」
ーーでも?
「涙は全部、海に溶けて。カメラの前では、いつもの自分でいることができました。きっとそれも、おばあちゃんの心遣いなのかなって思っています。元気でテレビに出ている私が大好きだったので……」
■デビュー当時は現場で孤独感を感じていた
「いつ、どこで買ったものなのか? 私にこれを残してくれたということは、きっと特別な思いがこめられているんだろうなと思うんですが、それを聞くこともできなくて……。でも、ずっとおばあちゃんが身につけていたものなので、私にとっては大事な宝物なんです」
「26歳でデビューというのが、ず~~~っと、コンプレックスになっていて(苦笑)。現場に行っても友達と呼べる人は一人もいないし、相談できる相手もいない。今、思うとただのひがみなんですけど、当時はきつかったです」
「私以外、役者さんはもちろんスタッフさんも皆さん顔見知り同士で、撮影初日から久しぶり? 元気だった? という言葉があちこちで飛び交っていて。でも、私はその輪に加われない。心のどこかで、あれをやりたいってずっと思っていたような気がします」
「長年の夢がようやくかないました(笑)。いつもなら撮影が終わるころには疲れ果て、家に帰るなりベッドに倒れ込んでいたのに、撮影期間中、元気なままで。ず~~~っと幸せの中にいる感じでした」
「撮影前に婦人会のボス、MEGUMIさんから、『こんな時代だからこそバカバカしいくらい思いっ切りやり切ろう』と声をかけていただいて。そのひと言で気持ちが楽になって、針が振り切れるほど思い切りやり切りました(笑)」
「絶対に後悔しないだろうと信じていましたが、そのとおりになってよかったです。背中を押してくれたおばあちゃんに感謝、そして、やろう! と決めた自分に拍手を送りたいですね」
たなかみちこ
1989年8月24日生まれ 静岡県出身 2013年「ミス・ワールド2013 日本代表」に選出され、2016年『ドクターX~外科医・大門未知子~』で女優デビュー。2018年には、NHK大河ドラマ『西郷どん』に出演するなど、数多くのテレビドラマに出演
写真・中村功
取材&文・工藤晋