3月13日、俳優の伊勢谷友介が、出演映画「ペナルティループ」(荒木伸二監督、3月22日から全国公開)の海外公開が決定したことなどを受け、都内の日本外国特派員協会で記者会見。「日本人は奴隷のように生きている」などと持論を展開した。
同作は、荒木監督によるオリジナル脚本で描くタイムループサスペンス。伊勢谷は劇中で、俳優の若葉竜也が演じる主人公に何度も殺される敵役を演じた。
伊勢谷は、自身が演じた役について「僕のキャラクターは、社会の仕組みだったり、ルール、規制にがんじがらめになったまま、流されるように世の中で生きてきたキャラクターだと思う」と説明。
そのうえで「そういう生き方は、たぶん日本においてほとんどの人がやっていて。実際には日本を壊したいという思いで生きている人なんて、ほぼいなかったと思う」と語った。
さらに「本来、日本人って世の中に引っ張られるように、ほとんど奴隷のように生きている。民主主義として、自分たちで世の中を変える気なんか、さらさらないような国民で、『お任せ民主主義』と言われていますし。実際に自分たちで世の中を変えるというモチベーションを持っている人は、ほぼいないというのが今の状況」と日本社会を皮肉った。
また、自身が演じた役について、「ある種、今の日本人を体現しているキャラクターだと思う。逆に言えば、それがアンチテーゼになって、死刑というものを我々が主体的に考える機会になって欲しい」と話を向けると、会見の最後に日本の死刑制度についてもこう言及した。
「他人に殺されるという状況が、法的にくだされるのが、この国には残っている。おおむねの日本人は、常態に流されて……殺人者じゃなく法、ルールに殺されていくことは、殺される側としては無力でいいことをしたくても変えられない。死刑みたいなことがある、ということが、どれだけ恐怖なのかということを日本に生きながら感じるより、この映画に出たことで、より感じた。
有史以来、人間は2000年以上、生きていますけど、何か罰を与えて世の中が良くなったことって、まだ1度もないと思う。日本は医療保険も、ちゃんとしていないから(人生の)末期には自分でお金を貯めこんでおかないと安らかに死ねない。我々はルールを変えるのではなく、ルールにのみ込まれたまま、生きているということを僕は役の中で体現してるのが実際、怖かった。だから余計に、我々が抱えている死刑というルールについて、考えるいいきっかけになったらいいなと映画が出来上がってから考えるようになった」
伊勢谷といえば、俳優、監督、実業家として活躍していたものの、2020年9月に大麻取締法違反で逮捕。同年12月に東京地方裁判所で「懲役1年、執行猶予3年」という判決が下された。
執行猶予中の2023年5月29日、47歳の誕生日を迎えた伊勢谷は自身のInstagramを更新。サングラス姿で海辺で決めポーズを取る6枚の写真とともに、こう書き込んでいた。
《Fuck you heroes Fuck you capitalism Fuck you politic system Fuck you people without future image》
(英雄たちくそったれ 資本主義くそったれ 政治システムくそったれ 将来像のない人たちくそったれ)
写真の最後の1枚は中指を突き立てるポーズの写真。
執行猶予期間が明けると、2024年1月には、自身の人生を語り下ろした『自刻像』(文藝春秋)を出版。自著の刊行にあわせ伊勢谷はこうコメントしている。
《「個の命は種の存続の為にある」ことに気がついてから、地球上で唯一、自らの未来を壊す生物である愚かな我々人類と、その社会の変革のイメージを育み、行動に変えることが僕の人生でした。それが出来なくなった今、次の生き方を模索するために過去の自分に会う旅をしました。他人や社会のために生きるのではなく、自分のための時間の使い方を探しに、過去の自分と向き合う旅です。お付き合いいただければ幸いです》
そして映画復帰第1作となる『ペナルティループ』の会見で、伊勢谷は持論を語ったわけだ。
だが、伊勢谷が「日本人って世の中に引っ張られるように、ほとんど奴隷のように生きている」などと持論を語ったことに、SNSでは批判的な声が多く上がっている。
《日本は~日本人は~と言う場合、ある程度の複数外国との比較を出さないと、何言ってるのか根拠不明だよ》
《外国の特派員の前でデタラメ言わんで欲しいよね》
《偉そうに死刑制度とかを語って欲しくないわ。二度と見たくなかったヤツなのにのうのうと復帰して来て、マジで気分悪い》
《内容がただの欧米コンプレックスに過ぎない》
満を持して語った持論。だが、その言葉はあまり届かなかったようだ。
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