「5月、プーチンがNATOと全面戦争へ!」プリゴジンの乱、銃乱射テロ を的中させたロシア専門家が予言
「この20年間、ロシア国内で起きたテロ事件のなかでは最大級の規模です。現場から逃走した犯人は次々と拘束され、現在、4人のタジキスタン人が起訴されています。事件直後に犯行声明を発表したISは、その理由としてロシアによるイスラム教徒弾圧を挙げています。2002年に、イスラム教徒が多数派を占めるチェチェン共和国の独立派が、モスクワの劇場を襲撃し占拠した結果、犯人側と合わせて約170人が亡くなる事件が起きました。今回のテロはまさに“第二のモスクワ劇場占拠事件”です」(大手紙記者)
「私は当時、ウクライナ戦争に動員されているイスラム教徒たちの間で『この戦争はプーチンの戦争であって、関係のない我々が巻き込まれている』という反感が高まっていると指摘し、テロが起きると警鐘を鳴らしていました。まさにそのとおりになってしまいましたね」(中村氏)
「まず、事件の裏側を考えてみましょう。今回、テロリストは現地時間19時55分に会場に到着し、発砲を開始しています。20時1分に救急車の出動要請があり、20時13分にテロリストは逃げています。そして、救急隊と治安部隊が現場に到着したのは、なんと21時。短時間で整然と撤退するテロリストと、モスクワ近郊であるにもかかわらず、到着まで1時間もかかる治安部隊――。さらに、米国は『モスクワでテロが起こる可能性が高い』と、なぜか約2週間も前から指摘していました。こうした“不可思議”な点を総合すると、このテロは、形式的にはイスラム過激派がやったけれども、単独の犯行ではなく、ロシア内部でこのテロを容認した人物、糸を引いていた勢力があると考えられるのです」
“外患誘致”をおこなったのは誰なのか。
「旧KGBの任務を引き継ぐ諜報機関、連邦保安庁(FSB)の長官・ボルトニコフです。FSBはもともとウクライナ侵攻に否定的ですが、プーチンの側近であり、極右思想を持つパトルシェフ安全保障会議書記が戦争を推し進めてきました。いま、この2人の権力争いが激化しているんです。プーチンは5月7日の大統領就任式後、すぐに首相人事を始める必要があります。そして、パトルシェフは息子であるドミトリーを首相にしようと運動しています。一方のボルトニコフは、プーチン政権にダメージを与え、これ以上パトルシェフの権力が強くならないよう、テロを“画策”したのではないでしょうか。プーチンの権力は盤石ではなく、足元はかなり揺らいでいるというわけです」
「私が2013年にシベリアを訪れた際、村々を3日間歩いて案内してくれた、親切なイスラム教徒がいました。彼は別れ際に『じつは、自分は半年前まで刑務所にいた』『ISのメンバーなんだ』と言ってきたんです。それぐらいロシアの地方には、ISが浸透しているんです。FSBが扇動しなくても、今回の事件を模倣する“反プーチンテロ”が、再び起きるはずです」
「ウクライナへの攻勢は激化するでしょうね。しかしフィンランド、スウェーデンがNATOに加盟するなど、ロシア包囲網は徐々に固まりつつあるし、いまの通常兵力だけでは、欧米の支援を受けているウクライナを全面的に制圧することは難しい。となれば、プーチンはNATOとの全面戦争を覚悟して戦術核を持ちだすしかないわけです。つまり、全面核戦争が起きる可能性があるのです」