池乃めだかの「今日はこれぐらいにしといたるわ」
1959年の誕生以来、60年にわたって笑いを届けてきた吉本新喜劇。なかでも人々の記憶に強く残っているのが、数々の「名物ギャグ」だ。
新喜劇の本拠地・大阪で200人に聞いたアンケートをもとに、歴史を彩ってきたギャグをランキングで振り返る。今回は、BEST3をお届け!
●第3位「今日はこれぐらいにしといたるわ」池乃めだか:34ポイント
1980年代に間寛平とのコンビで人気を博し、新喜劇の激動期を支え、現在に至るまで精力的に舞台に立ち続ける「ちっさいおっさん」こと池乃めだか。ギャグのレパートリーも新喜劇随一を誇るが、そのなかから3位に選ばれたのが、こちら。
チンピラ相手に喧嘩を挑んだものの、あっさりボコボコにされてからの「今日はこれぐらいにしといたるわ」という負け惜しみのひと言に、チンピラのみならず、会場中がズッコケていた。芝居の流れを汲みながらも、フリとオチをしっかりときかせた、「ザ・新喜劇」ギャグといえるだろう。
そのルーツは定かではないが、「常に舞台でいろんなボケを試す」という、研究熱心な池乃。アドリブ的な言動がウケて定番となり、だんだんギャグとして認知されていくことも多いようだ。
【投票者の声】
「これぞ関西的なノリ。アホさ加減がハンパなくて好きです」
「弱者と強者が入れ替わってしまうところがおもしろいと思う」
●第2位「乳首ドリル」すっちー&吉田裕:35ポイント
すっちー演じるおばちゃんキャラ「すち子」と、吉田裕演じるチンピラキャラによる掛け合いから生まれたのが、「ドリルすんのかいせんのかい」、通称「乳首ドリル」。
すち子が「ドリザッパ」と呼ばれるウレタン製の棒で、吉田の胸や爪先、顎、脇を叩き、さらには乳首をドリルしたりしなかったりするという、説明されてもなんのことかわからないギャグだ。しかし、息の合ったリズミカルな掛け合いによって、いまや新喜劇を代表する人気ギャグとなった。
全国ネットのバラエティ番組に出演したほか、数々のCMやキャンペーンにも起用されるなど、全国的な知名度も高い。当初は「何を見せられてるの?」とポカーンとしていた客席も、いまではドリルに合わせて手拍子が起こるほどに。
【投票者の声】
「2人の息が合っていておもしろい。リズムも楽しくて、何度見ても笑ってしまう」
「ほかの演者がやってみたのを見て、じつはかなり難しいことがわかった」
●第1位「こわかった~」未知やすえ:44ポイント
極道役のコワモテキャラなどにキレかかり、「ストローで脳みそちゅーちゅー吸うたろか!!」と河内弁でまくしたてたかと思えば、最後にかわいく「こわかった~」とオトす、未知やすえのギャグが第1位に。
女優がキャラを一変させてキレる流れは、山田スミ子をはじめ、さまざまな新喜劇女優の見せ場になっていた。だが、未知の場合は、新喜劇の作家も「おまえ、本物なんか?」と驚いたほどリアルなキレっぷりと、態度が一変したときのギャップが、多くのファンの心をつかんでいるようだ。
自身で考えたという「爪の間にほっそい針刺したろか!」などのフレーズの妙も、大きなインパクトを残している。また、「自分も叱ってほしい!」という男性ファン、「見ていてスッキリする!」という女性ファン、両方からの支持を得ていることも1位となった要因といえそうだ。
【投票者の声】
「キレ方の迫力が、とにかくすごい。コロッと態度が変わる瞬間もいい」
「キレ方が、見てて気持ちいい!」
「すごい剣幕からの甘えた感じの声が、ギャップがあってとてもおもしろい」
「河内弁でまくしたてるところが、カッコよくて好き」
(週刊FLASH 2019年6月18日号)
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